はじめに
経済学を学んでいると、効用関数や費用関数などを特定化するにあたり、一見すると変な特定化が行われていることがあります。
例えば、効用関数であれば、
$u = \ln u$
であったり、費用関数ならば、
$c = \dfrac{1}{2} x^2$
などといった具合です。
理由としては、関数の本質を変えずに、一言でいえば「便利だから」です。
このような便利な関数の特定化について、説明したいと思います。
関数の特定化
逓減する場合
関数$f(x)$が、次のように逓減する場合を考えましょう。代表的なものとしては、効用関数や生産関数が挙げられます。
$f'(x) > 0 \; , \; f^”(x) < 0$
このときには、次のように特定化すると便利です。
$f(x) = \ln x$
この関数について、1階・2階微分すると、
$f'(x) =\dfrac{1}{x} > 0$
$f^”(x) =\; – \; \dfrac{1}{x^2} < 0$
となり、上記の逓減の条件を満たしており、関数の式も比較的単純な形になっています。
また、2階微分の式をあまり使わないのであれば、次のような場合もあります。
$f(x) = 2 \sqrt{x}$
この関数について、1階・2階微分すると、
$f'(x) = \dfrac{1}{\sqrt{x}} > 0$
$f^”(x) =\; – \; \dfrac{1}{2}x^{-3/2} < 0$
となり、上記の逓減の条件を満たしています。ただ、関数の式は、(特に2階微分の場合)少しややこしくなっています。
逓増する場合
関数$g(x)$が、次のように逓増する場合を考えましょう。代表的なものとしては、費用関数が挙げられます。
$g'(x) > 0 \; , \; g^”(x) > 0$
このときには、次のように特定化すると便利です。
$g(x) = \dfrac{1}{2} x^2$
この関数について、1階・2階微分すると、
$g'(x) = x > 0$
$g^”(x) = 1 > 0$
となり、上記の逓増の条件を満たしており、式も単純な形になっています。