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シャープレイ値について

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投稿ゲーム理論中級
囚人のジレンマ、硬貨合わせゲームなど、ゲーム理論においては、様々な種類のゲームが出てきます。これらの基本的なゲームをまとめています。
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はじめに

 ゲーム理論でグループを形成する場合、グループ全体で利益を得ることになります。

 例えば、プレイヤーがA・B・Cの3人おり、それぞれが提携し、グループを形成した結果、利得300を得ることができるとします。

 しかし、ここで問題になるのが、この利得300をプレイヤーの間でどのように分けるのかという問題です。

 単純に言えば、3人で三等分し、100ずつ利得を受け取るというのが、一つの考えです。
 ただ、プレイヤーAだけで行動した場合の利得が110とすると、単純に三等分すれば、プレイヤーAは単独の場合よりも、提携することで利得が減ってしまいます。

 (単独)
  プレイヤーAの利得:110

 (提携)(利得を三等分)
  プレイヤーAの利得:100 ⇒ 単独の利得110のほうが利得が大きい

 ここで、グループを形成した場合の利得について、どのように分けるのかという問題について、1つの答えを与えてくれるのが、シャープレイ値です。

シャープレイ値

 1つの考えは、提携に参加することで、増える利得を基準に考えるというものです。

 提携による利得に対して、元々の利得を差し引けば、提携による利得の増分が計算できます。

  利得の増分 = 提携による利得 - 元々の利得

 これを「限界貢献度」と言います。
 そして、提携に参加することで得られる利益を基準に配分を考えることは、1つの方法だと思われます。

 ただ、提携に参加する順序で、この限界貢献度は変わってくる可能性があります。

 例えば、プレイヤーAが、プレイヤーBに声をかけ、提携した場合の利得の合計が190、その後にプレイヤーCが参加することで、利得が300になる場合には、プレイヤーAの限界貢献度は、

  限界貢献度 = 190 – 110 = 80

となります。
 しかし、プレイヤーBとCがすでに提携しており、2人の利得の合計が250だった場合、3人が参加した場合の利得の合計に対しては、

  限界貢献度 = 300 – 250 = 50

となります。

 そこで、提携に参加した順序に関係なく、限界貢献度を考えるとき、1つの方法は、限界貢献度を平均すればいいというものでしょう。

 まさしくこれが、シャープレイ値であり、次のように定義されます。

  「シャープレイ値とは、限界貢献度の平均」

シャープレイ値(数式)

 プレイヤーが$n$人、提携$S$の参加人数を$s$、提携$S$の利得を$u(S)$とすると、より一般的に、プレイヤー$i$のシャープレイ値$\phi_i$は、次のようになります。

  $\displaystyle \phi_i = \sum_{i \in S} \dfrac{(s \; – \; 1)! (n \; – \; s)!}{n!}[ u(S) \; – \; u(S \; – \; {i})]$

三人の場合

 数式が若干ややこしいので、プレイヤーがA・B・Cという3人がおり、プレイヤーAについて考えてみましょう。
 三人が提携したときの利得$v$として、プレイヤーAが提携に参加したときに、順序で限界貢献度が変わるので、

  最初に参加 … $v(ABC) \quad , \quad v(ACB)$

  2番目に参加 … $v(BAC) \quad , \quad v(CAB)$

  最後に参加 … $v(BCA) \quad , \quad v(CBA)$

とします。例えば、$v(ABC)$は、最初にAが、次にB、最後にCが提携に参加した場合です。

 このとき、プレイヤーAのシャープレイ値は、次のようになります。

  $\phi_A = \dfrac{1}{6}[v(ABC) + v(ACB) + v(BAC) + v(CAB) + v(BCA) + v(CBA)]$

 なお、上記では6つの限界貢献度がある形になっていますが、最初と最後に参加した場合には、プレイヤーAの限界貢献度は同じです。
 例えば、最初にプレイヤーAが参加したときには、すで限界貢献度は決定してしまい、その後のBとCの順序が変わっても、プレイヤーAの限界貢献度は変わりません。

 すなわち、

  最初に参加 … $v(ABC) = v(ACB)$

  最後に参加 … $v(BCA) = v(CBA)$

 このことから、この2つの式を考えると、プレイヤーAのシャープレイ値は、次のようにも表すことができます。

  $\phi_A = \dfrac{1}{3}v(ABC) + \dfrac{1}{6}[v(BAC) + v(CAB)] + \dfrac{1}{3}v(BCA)$

最後に

 どうもイメージがつかないという方は、下記に計算例・数値例がありますので、こちらも見てください。

   シャープレイ値についての例題

参考

  岡田章『ゲーム理論・入門

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