はじめに
ゲーム理論において、展開形ゲームというものがあります。
下の図のようなもので、ゲーム理論の本を読んだことがあれば、見たことがあると思います。
何となく理解している方も多いと思いますが、展開型ゲームに出てくる部分ゲームについて理解する上でも、(特に情報集合の概念を)しっかりと定義を知っておいたほうがいいと思いますので、定義について説明したいと思います。
展開形ゲームの定義
ツリー
展開形ゲームは、ゲームの樹(ツリー)によって、ゲームが描かれます。
ゲームの樹において分岐するところを「節」と呼び(上記の図では黒点)、節と節を結ぶものを「枝」と言います(上記の図では矢印)。
そして、初期節から、各プレイヤーが行動を選び、終端節までいき、利得が決定されることになります。
プレイヤー
展開形ゲームにおいては、他のゲーム理論のゲームと同じように、プレイヤーがいます。
各プレイヤーは、それぞれの節で、選択を行うことになります(上記の図では、AとBというプレイヤー)。
節における選択を「手番」と言い、展開形ゲームでは、それぞれのプレイヤーが交互に手番を繰り返すので、「逐次手番」が行われます(戦略形ゲームにおいても同様に手番がありますが、同時に行われるので、同時手番と言われます)。
行動
それぞれのプレイヤーは、節ごとに行動が割り振られています(上記の図では、a1・b1・a2・b2)。
利得
それぞれのプレイヤーが行動を行った結果、最終的には終端節に達するわけですが、その終端節で、それぞれのプレイヤーの利得が決定されます。
情報集合
プレイヤーは節で行動を行いますが、自身がどの節にいるか分からないときがあります。
上記の図では、プレイヤーAの行動を受け、プレイヤーBが行動を選択することになりますが、プレイヤーBは、図の上の節にいるのか、下の節にいるのか分からないことがあります。
言い換えれば、プレイヤーAはa1もしくはa2を行うことになりますが、プレイヤーBはプレイヤーAがそのどちらの選択を行ったか分からない場合です。
このように、手番にあたるプレイヤーがどの節に自身がいるのか分からない節の集合を情報集合と言います。
そして、情報集合は、次の性質を満たす必要があるとされます。
・すべての手番は、いずれかの情報集合に含まれなければならないが、複数の情報集合には含まれない
・同一の情報集合に含まれる節は、すべて同じプレイヤーの手番でなければならない
・同一の情報集合に含まれる節は、すべて同じ本数の枝が伸びており、割り振られている行動も同じである
・一つの情報集合には、同一の経路上にある複数の節を含まない
参考
奥野正寛(編著)『ミクロ経済学』