モディリアーニ・ミラーの定理
モディリアーニ・ミラーの定理では、次のような仮定が置かれます。
・企業は発行済み株式の価値を最大化する
・資本市場は完全競争市場で、取引コストや税金などは発生しない
・それぞれの経済主体は完全情報である
・企業が借入をする際の利子率と株主が株式を購入するにあたって借り入れる際の利子率は等しい
・株主は、収益の増加にあたり、どのような形をとるかは無差別である
このような場合に、次のようなモディリアーニ・ミラーの定理が導かれます。
「企業価値は、どのような資金調達をしても変わらない」
例えば、企業が株式から資金調達しても、借入金から資金調達しても、企業価値は変わらないことを意味しています。
ポイント
なぜ、このような話になるのか、ポイントを説明します。
企業価値は、投資家から見たとき、投資による配当金や利子などで決定されます。これを企業の側から見ると、配当金や利子は資本コストであり、この資本コストが大きいほど、企業価値が大きくなることになります。
そして、企業が利潤最大化行動を行うとすると、投資家から受けた資本による生産力の単位当たり増加額(限界生産力)と資本コストは等しくなるはずです。言い換えれば、投資家からの資本提供で生産力の増加が起こり、それに見当たった資本コストを投資家に支払うことになります。
ところで、この資本コストは、企業にとっては、借入であろうが、株式という形であろうが、どのような形でも構いません。どのような形であろうが、企業にとっては違いはないからです。
逆に、投資家の立場でも同様で、収益を上げるには、株式だろうが、貸出という形だろうがどちらでもいいはずです。
そうすると、企業にとっては、資本コストは、株式によるものと借入によるものは等しくなります。
資本コストで企業価値は決まるので、株式だろうが、借入だろうが、企業価値は変わらないことになります。