スポンサーリンク

地域間の人口移動に関するグラビティ・モデル(重力モデル)について

スポンサーリンク
 
投稿地域経済学初級
地域経済学において、地域間の人口移動に関するグラビティ・モデル(重力モデル)について、説明しています。
スポンサーリンク
スポンサーリンク

 人々はある地域にずっと居続けるわけではなく、他の地域に移動したりします。

 移動にあたっては、移動することで得られるものと移動することによる費用などが問題になるでしょうが、いずれにしても現住地と移動先の状況が重要になることは間違いありません。

 移動にあたり、現住地と移動先について、

  プッシュ要因 … 現住地を離れる決定に影響を与える要因

  プル要因 … 移動先の決定に影響を与える要因

の2つが重要となります。

 例えば、田舎に住んでいる人が仕事を探しているしましょう。
 田舎では会社が少なく、そもそも求人も少ないので、現在の田舎を離れて、別の地域に移動することを考えます(プッシュ要因)。他方、別の田舎に行っても、求人については、同様のことが予想されるので、都会にいくことを考えるでしょう(プル要因)。

 このように、現住地と移動先の状況が移動を考えている人にとっては、影響を与えていると考えられます。

 他方、地域間の移動にあたり、距離が近いほど移動しやすく、距離が遠くなるほど移動しにくいとも考えられます。

 そこで、人口移動に関して、物理学の引力法則をベースに、考えられたのが、グラビティ・モデル(重力モデル)です。

 地域$i$と地域$j$についての相互作用を$F_{ij}$とし、人口などの地域の規模を表す変数を$P_i \, , \, P_j$、地域間の距離を$D_{ij}$とすると、グラビティ・モデル(重力モデル)は、次のような式になります。

  $F_{ij} = k \dfrac{P_i P_j}{D_{ij}^\lambda}$

 ここで、$k \, , \, \lambda$はパラメーターです。

 地域の規模が大きくなるほど、その地域に引き付けられるので、相互作用は大きくなり、距離が遠いほど、相互作用は小さくなります。

 ただ、地域間の移動については、地域の規模と距離だけではなく、他の要因も考えられます。

 賃金を$w_i \, , \, w_j$、失業率を$u_i \, , \, u_j$、それぞれの地域の環境や公共サービスなどを$X_i \, , \, X_j$とし、地域$i$から地域$j$への移動量を$M_{ij}$とすると、より一般的なグラビティ・モデル(重力モデル)は、次のような式になります。

  $M_{ij} = f(w_i \, , \, w_j \, , \, u_i \, , \, u_j \, , \, X_i \, , \, X_j \, , \, P_i \, , \, P_j \, , \, D_{ij})$

 また、地域間の違い・差に注目して考えることができます。例えば、賃金の差$w_i \; – \; w_j$が移動にあたり、決定に影響を与えると考えることもできます。
 このとき、それぞれの変数の差を$w_{ij} \, , \, u_{ij} \, , \, X_{ij} \, , \, P_{ij}$とすると、次のような式になります。

  $M_{ij} = g(w_{ij} \, , \, u_{ij} \, , \, X_{ij} \, , \, P_{ij} \, , \, D_{ij})$

 あとは、これらの式を推計すれば、地域間の移動の要因を調べることができます。

 一般的には、賃金や雇用水準などが、重要な要因となっていることが多いとされています。

スポンサーリンク

参考

  山田浩之・徳岡一幸編『地域経済学入門

  佐藤泰裕『都市・地域経済学への招待状

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました