考え方
数学的には、線形の関数とは異なり、曲線などの非線形の関数は、計算ができなかったり、式を解くことができなかったりと扱いにくいことが多いです。そこで、非線形の関数を線形として扱えれば、非常に便利です。
そこで、用いられるのが、テイラー展開です。
例えば、下の左側のグラフのような曲線があったとしましょう。
全体としては曲線ですが、その一部分に注目すると、下の右側のグラフのように、線に近い形で近似できるはずです。

このように、ある関数を線形の多項式で近似するというのが、テイラー展開になります。
一般的な公式
1変数関数の場合
を中心とする関数
のテイラー展開は、次のようになります。
(参考)
このテイラー展開は無限ですが、回まで微分可能である場合には、次のようになります。
なお、最後の項は「剰余項」といい、剰余項がついているので、剰余項付きのテイラー展開と言います。
多変数関数の場合
個の変数の場合、関数
のテイラー展開は、次のようになります。
特殊形
一般的な公式は上記の通りですが、簡便性のため、次のような形で、テイラー展開を使います。
・とする(これをマクローリン展開と言います)
・2階微分で打ち止める
このとき、1変数関数では、次のような式になります。
2変数関数の場合には、次のようになります。
経済学における使われ方
経済学では、マクロ経済学や計量経済学などで、よくテイラー展開が使われるように思います。
理由としては、理論的に導出したモデルが非線形な場合には、そのまま推計を行いにくい面があるからでしょう。