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金融政策のかつての代表的な手法・公定歩合操作について

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投稿金融論入門
かつて金融政策の代表的な手法として、公定歩合操作がありました。この公定歩合操作について説明します。
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公定歩合

 公定歩合とは、日本銀行が民間銀行に手形貸付や手形割引を行う際に適用される金利(割引率)のことです。

 簡単に言えば、日本銀行から民間銀行への貸出金利と言えるものです。

公定歩合操作

 公定歩合操作とは、この公定歩合を上下させるという金融政策です。かつて金融政策の代表であり、大きな影響がありました。

 そして、公定歩合操作には、次の2つの効果があるとされています。

①コスト効果
 日本銀行が公定歩合を引き上げると、民間金融機関はより高い金利に日本銀行から資金を調達せざるを得なくなり、民間銀行は企業への貸出金利を高くする必要があります。企業としては、民間金融機関からの借入利息が増えるので、投資は抑制的になります。

 逆に、日本銀行が公定歩合を引き下げると、民間金融機関は安い金利で資金調達できるので、その先の企業への融資金利も安くすることができます。企業としても民間金融機関から安い金利で借入ができるので、投資を行いやすい状況になります。

 このように、公定歩合を上下することで、民間金融機関の貸出金利に影響を与え、更にその先の企業の投資に対して、影響を与えることができます。

②アナウンスメント効果
 もう1つの効果として、アナウンスメント効果というものがあります。

 日本銀行が公定歩合を引き上げるときには、日本銀行はインフレや景気の過熱を抑制しようとしているというメッセージを出すことができます。逆に、公定歩合の引き下げの際には、日本銀行はデフレや景気回復を狙っているということを市場に伝えることができます。

 そうすると、単に日本銀行と民間金融機関との関係だけではなく、債券市場などの他の市場などへも影響を与えることになります。

現在の状況

 ただ現在は、公定歩合の政策的な重要度は低下し、名称も「基準貸付利率」というものに変更されています。

 その背景としては、次のようなものです。

  ・1990年代以降、金利が低下する中で、上記のコスト効果がなくなってきた

  ・民間金融機関の預金残高のうち、日本銀行からの借入の比率が低下した

 つまり、公定歩合(基準貸付利率)を変更しても、民間金融機関の行動には大きな影響を与えることができなくなったということです。

 そして現在では、日本銀行から民間金融機関への貸付についても、「補完貸付制度」(ロンバート型貸出制度)が導入されています。これは、担保(日本銀行が適格とするもの)があれば、民間金融機関は日本銀行から借入ができるというものです。

  日本銀行「補完貸付制度

参考

  家森信善『金融論

  小林照義『金融政策

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