【債券格付けの開始】
債券格付けは、1860年に、アメリカ人のプアーが『アメリカ鉄道運河史』を発行したのが最初と言われます。それ以前にも格付けは行われていましたが、まとまった形によるのは、これが最初となります。
なお、名前の通り、このプアーは、現在のスタンダード&プアーズの創始者です。
【債券格付けの増加】
1909年には、ムーディーが鉄道会社約250社が発行する鉄道債を分かりやすく記号表記したりもし、1914年に主要事業会社や公益事業会社の社債格付けを始めました。なお、このムーディーも現在のムーディーズの創始者です。
1916年にプアーズ・パブリッシング、1922年にスタンダード・スタティスティックス、1924年にフィッチが社債格付けを始めました。
このように、1900年代初頭に、いくつものが格付けがスタートし、現在でもこの格付けが続いています。
なお、1941年に、プアーズ・パブリッシングとスタンダード・スタティスティックスが合併し、スタンダード&プアーズとなっています。
【公的情報化】
債券格付けがスタートし、当初は投資家にとっての参考情報でしたが、1957年に、通貨監督官(OCC)が連邦準備銀行(FRB)加盟銀行に対して、債券格付け上位4ランク以外の公社債投資を禁止し、1974年には、証券取引委員会(SEC)が年金運用に債券格付けを重視するように指導されるようになります。
これにより、債券格付けが公的要素を含むようになり信頼を高め、更に一層、債券格付けの普及が進むことになります。
【ビジネスモデルの変更】
債券格付けの当初は、投資家の参考情報として、出版刊行物を発行し、購読料をとるという形で、格付け会社は収益を得ていましたが、1971年に、ムーディーズが、債券発行主体から、手数料を徴収するという手法を導入しました。
これは中立性には問題があるものの、出版物では収益に限界があったり、ただ乗りの可能性もあります。また、債券格付けの信頼性を確保する上でも、格付けにあたってのコストが増大したことも、手数料導入の理由とされています。
【債券格付けの一般化】
現在では債券格付けは、投資家はもとより、発行体にとっても、重要となっています。発行体は格付け会社から高い評価を得ることで、発行コストの軽減につながるからです。
逆に、格付け会社から高い評価を得るために、商品設計をするような発行体も出るなど、格付け会社の評価は非常に重要になっています。
参考
大村敬一『ファイナンス論』