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金利をコントロールするコリドーシステムについて

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投稿金融論初級
中央銀行が、金利をコントロールするための方法として、コリドーシステムがあります。このコリドーシステムについて、説明しています。
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コリドーシステム

 コリドーシステムとは、中央銀行が金利の上限と下限を定め、その範囲内で、金利が推移するようにするための方法です。

 例えば、上限を0.5%、下限を0.1%として、0.1%~0.5%の間で、金利が推移するようなコントロールすることになります。

 コリドー(corridor)は、「回廊」を意味し、金利が一定幅内で動くことから、このような名称になっています。

 日本銀行において、2008年11月から補完当座預金制度が導入されて、コリドーシステムのもと、最短の金利である翌日物コールレートがコントロールされています。

 コリドーシステム自体は難しくありませんが、重要なポイントは、上限と下限の定め方です。

上限と下限の定め方

キャップ効果

 日本銀行は、「銀行の銀行」と呼ばれているように、金融機関に貸付を行っています。

 補完貸付制度(またはロンバート型貸出制度)で、基準貸付利率のもと、日本銀行は、金融機関に貸付を行います。
 (なお、この基準貸付利率は、従前の公定歩合に相当するものです)

   日本銀行「補完貸付制度

 ところで、金融機関は資金調達を行おうとするとき、最も金利が安いところから借りることになります。基準貸付利率よりも低い金利で資金調達できれば、そこから借りることになるでしょうが、基準貸付利率よりも高い金利でしか借りれない状況になったときに、金融機関にとっては、日本銀行から基準貸付利率で借りたほうが得です。

 ですので、基準貸付利率は、金融機関間の取引において、金利の上限を定めることになり、この効果を「キャップ効果」と言います。

フロア効果

 金融機関は、日本銀行の当座預金に、法定準備を積む必要があります。言い換えると、金融機関は、一定額を日本銀行に預金しておく必要があります。

 そして、法定準備額を上回る超過準備について、日本銀行は金融機関に金利を付与しています。これを、「補完当座預金制度」と言います。

   日本銀行「補完当座預金制度

 金融機関は、貸出などを行い、資金運用して、利益を上げています。しかし、資金運用先がなければ、自分で資金を持っていたり、日本銀行の当座預金に預けておいたりすることになります。
 ただこれでは、金融機関は儲からないので、日本銀行は金融機関を助けるため、金利を付与するというのが、この補完当座預金制度です。

 ところで、金融機関としては、補完当座預金制度による金利よりも、高い金利で運用すれば、この補完当座預金制度を使う意味はありません。また収益を考えれば、補完当座預金制度による金利より、低い金利で資金を運用しようとは思いません。

 ですので、補完当座預金制度による金利は、金融機関間の取引において、金利の下限を定めることになり、この効果を「フロア効果」と言います。

まとめ

 日本銀行においては、補完貸付制度によるキャップ効果、補完当座預金制度によるフロア効果を用いて、翌日物コールレートの上下幅を定め、金利をコントロールしており、この仕組みをコリドーシステムということになります。



参考

  小林照義『金融政策

  日本銀行「オペレーション等の一覧

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