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なぜ、デリバティブ(金融派生商品)があるのか?

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投稿金融論初級
なぜ、デリバティブ(金融派生商品)というものがあるのか、デリバティブ(金融派生商品)の機能について、説明しています。
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デリバティブ(金融派生商品)とは

 「デリバティブ(金融派生商品)」とは、債券・株式・為替などの金融商品や取引手段から派生的に生み出された金融商品のことです。
 なお、デリバティブ(金融派生商品)に対して、元々の金融商品を「原資産」といったります。

 例えば、ある債券を考えたとき、通常は、債券市場において、現時点でその都度、売買が行われます。

 しかし、現時点ではなく、将来について、取引を行いたいと思うことがあります。
 このときには、将来の価格を予想して、売買を行うことが考えられ、このような取引を、デリバティブ(金融派生商品)と言います(厳密には、デリバティブ(金融派生商品)の1つである債券先物)。

 「何だか、難しい」

と感じるのですが、なぜこのような難しい商品・取引が行われるのでしょうか。

 そこで、デリバティブ(金融派生商品)の機能について、先物をベースに、教科書的に説明します。

デリバティブ(金融派生商品)の機能

 デリバティブ(金融派生商品)には、大きく分けて、3つの機能があるとされています。

①リスクヘッジ

 金融商品には、価格変動がつきものですが、取引を行う者にとっては、あまり価格変動は望ましくありません(リスク愛好者や大きな収益を望む人は除けばです)。

 そうしたときに、将来、取引する価格を現時点で決めておけば、価格変動があっても、何の問題もありません。

 このように、デリバティブを用いることで、価格変動などのリスクを低減することができます。

②価格発見機能

 現時点の金融商品の価格とデリバティブ(金融派生商品)の価格は、異なります。先物でいえば、現時点の価格と将来予想される価格が違うのは、当然と言えるでしょう。

 このとき、現時点の価格が、何らかの影響で一時的に、真の需給を反映していない可能性があります。デリバティブ(金融派生商品)があれば、将来の価格も分かるため、その影響が落ち着いた、真の需給に基づいた価格を見出すことができます。

 また、デリバティブの価格は、将来の価格なので、今後のその金融商品の価格がどのようになっていくかを見出しやすくなります。

 このように、デリバティブがあることで、現時点だけではなく、違う時点の価格などが分かり、価格発見機能があるとされます。

③原資産の流動性向上

 上記のリスクヘッジと関連しますが、デリバティブがあることで、リスクが低減されるため、原資産や現物市場の取引も活発化し、それらの流動性が向上することが期待できます。

 例えば、投資家にとって、価格の下落が予想されると、投資を控えるようになるでしょう。しかし、デリバティブがあることで、リスクヘッジができるため、現物市場においても、投資をしやすい環境が生まれることになります。

 更に、裁定取引のように、現物とデリバティブとの価格の違いに着目して、投資を行うこともあるため、この点でも、取引の活発化や流動性の向上が期待できます。
 

まとめ

 デリバティブ(金融派生商品)の機能については、上記のような形で難しいかんじですが、「なぜデリバティブ(金融派生商品)があるのか」という点に絞っていえば、世の中では、よくあることです。

 ちょっとニュアンスが違うかもしれませんが、例えば、演劇を見たいと思ったとき、当日、劇場に行ってチケットを買うことになるのでしょうが、現実には、チケットを予約できたり、よくはありませんが転売ができたりもします。その劇団のファンクラブに入っていれば、安くチケットが買えたり、先行してチケットを買えることもあるでしょう。
 このように、取引というものを考えれば、それに派生して、色々なサービスや取引手段が生まれるものです。

 デリバティブ(金融派生商品)についても同様で、原資産・現物市場だけでは、不都合・物足りないということで、生まれた金融商品と言えるでしょう。

 ただ、デリバティブ(金融派生商品)は、「派生」であるにも関わらず、市場においては、大きなインパクトを持つことがあるという点に注意が必要かもしれません。

参考

  家森信善『金融論

  藤原賢哉・家森信善編著『現代金融論講義

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