スポンサーリンク

財政投融資について

スポンサーリンク
 
投稿財政学初級
公的資金を融資や投資する制度である財政投融資について、説明しています。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

はじめに

 国の財政は、税金という形で資金を調達し、国が事業を行っています。

 しかし、国はすべての事業を行っているわけではなく、地方自治体や独立行政法人などに資金を供給し、政策を行っていることがあります。それらの機関に、資金を融資したり、投資したりする制度が、財政投融資制度です。

 そして、通常の財政である一般会計や特別会計とは、少し異なった仕組みになっています。

財政投融資

 財政投融資は、毎年、財政投融資計画として策定され、運用が行われています。
 財政投融資計画では、5年以上の資金運用の方針や財源などがまとめられており、国会に提出されています。

 なお、財政投融資計画自体は、国会の議決は不要ですが、それぞれの原資ごとに、予算の一部として国会での審議・議決が必要とされます。



(出典)財務省「財政投融資(国からの資金の貸付・投資)

原資

 融資や投資を行うためにはその原資が必要ですが、財政投融資は、一般的な会計とは異なり、次のような3つのものを原資としてます。

 ①財政融資
  財政投融資の原資の9割を占めているとされ、金融市場から財投債(財政投融資資金特別会計国債)を発行し、資金を調達しています。金融市場から財投債という債券で資金を調達しているため、利払いや返済(償還)が必要となります。
  この他、国の特別会計の積立金、余裕金の預託分なども原資となっています。

 ②産業投資
  NTT株やJT株の配当金や国際協力銀行の国庫納付金などを原資としてます。

 ③政府保証
  原資とは少し異なりますが、政府系機関が発行する債券の信用力を高めるため、政府により信用を供与しています。

投融資

 上記の原資を元に、財政投融資では、次のような機関に投資や融資を行っています(これらの機関を「財投機関」と言います)。

 ①政策金融機関
  日本政策金融公庫や日本政策投資銀行などの政府系の金融機関などに融資を行っています。
  これらの機関は、そこから得られた資金を民間企業などに貸し出しています。

 ②その他の機関
  日本学生支援機構や石油天然ガス・金属鉱物資源機構など、政策金融機関以外の政府系の機関に融資を行っています。

 ③地方自治体
  地方自治体も地方債などで税金以外に資金調達を行うことができますが、地方財政法で対象事業が限定されていることもあり、公共事業などについて、この財政投融資により融資を受けることができます。

    財務省「地方公共団体向け財政融資

 ④官民ファンド
  産業革新投資機構などでは民間企業への投資を行っていますが、その原資はこの財政投融資による出資となっています。

財政投融資の特徴と課題

特徴

 財政投融資の特徴としては、次のようなものがあるとされます。

 ①有償
  原資が財投債などから調達されるため、有償であるという点です。
  税金では徴収してしまえば、国民に返還する必要はありませんが、財政投融資では、財投債で資金を調達したとき、その調達にはコストがかかり、利払いが必要となります。
  この点で、税以上に効率的な運用が求められる制度となっています。

 ②受動性
  税金を徴収するにあたっては強制力がありますが、財政投融資では財投債という国債により資金を調達し返済する必要があります。

 ③公共性
  金融市場から資金を調達するという点では、民間企業の資金調達と同様ですが、公共的な目的を有した事業に使われます。
  特に、民間企業では困難な投融資も、この財政投融資は国によるものなので、比較的、長期・固定・低利の融資を行いやすいという面があります。

 ④信用補完
  本制度の仕組みを考えると、民間企業と同様に、財投機関は単独で金融市場から資金を調達することも考えられます。
  しかし、財投機関によっては、単独で資金調達を行うと、調達コストが高くなったりします。そこで、この財政投融資であれば、そのような調達コストは抑えられます。また、政府保証などを行うことで、ある企業が単独で債券を発行しても、そのコストを低くすることが可能になります。

 ⑤柔軟性
  財政投融資資金の長期運用予定額と政府保証の限度額については、国会で議決した金額の50%の範囲内であれば、国会の議決なしに増額が可能となっています(「弾力条項」と言います)。
  このように、通常の予算とは異なり、柔軟な運用が可能となっています。

課題

 他方、財政投融資の課題としては、次のようなものが挙げられます。

 ①民業圧迫
  財投機関によっては、民間企業と同様の事業を行っているようなところもあり、当然ながら、それらの機関と民間企業の事業は競合することもあるため、民業圧迫という面が生じます。

 ②非効率性
  上記のように財政投融資の原資は、財投債などの有償の資金で効率性が求められる仕組みとなっています。
  しかし、民間企業よりも収益性を求めるよりも、公的な目的のもとに財投機関は運営されているため、財政規律が緩くなったりもします。

 ③天下り
  財投機関は、国家公務員の天下り先になっているという批判があります。

参考

  小塩隆士『コア・テキスト財政学

  山重慎二『財政学

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました