はじめに
政府による経済政策においては、金融政策、制度改革(規制改革)などがありますが、その重要なものとして、「財政政策」が挙げられると思います。
簡単に言えば、
「政府がお金を使う」
ということに尽きるのですが、必ずしもそうとは言えない部分もあります。
また、政府ならば、金融政策や制度改革は可能であったり、やりやすい部分もありますが、地方自治体などの地方政府では、財政策がメインになったりもします。
そこで、この財政政策について、具体的にどのようなものがあるかを整理しました。
財政政策のパターン
財政政策について、大きく分けると、次のようなものになると思います。
・直接執行
・融資
・補助・助成
・税金
私個人の区分ですが、それぞれについて、説明します。
直接執行
一般的に、「財政政策」で思い浮かぶのが、この直接執行だと思います。
これは、政府が自ら事業などを行って、財政支出を行うというものです。
分かりやすいものとしては、政府による道路やダムなどのインフラ整備などでしょうか。
政府自らが行うイベントなどのソフト事業も含まれますし、「委託」という形で、他の機関に代行を行う場合もこれに含まれると思います。
また、国立の病院などのように、政府の機関の設置・運営などもこれに含まれると思います(ただ、独立の機関として、補助・助成という形をとっていることも多いです)。
融資
政府が、他の機関・企業などに、資金の貸付けを行うというものです。
融資というと、金融政策のように思われるかもしれませんが、政府財政を財源としているので、財政政策の1つと言えます。
言い方を変えれば、その資金が貸し倒れれば、政府財政はマイナスになるので、予算上もしっかりと計上が求められます。
ただ、他の機関・企業への融資に付随して、利子を安くすることがあったりもします(利子補給)。この場合は、利子に対する補助を出しているので、後述の補助・助成にあたることになります。
補助・助成
直接執行とは異なり、他の機関が行うことに、財政支出を行うというものです。
名称は、「補助金」「助成金」「支援金」など、様々な言い方があります。財政支出には変わらないのですが、この言い方で、何となく毛色があったりもします。
個人的な印象としては、補助金は一般的な名称ですが、その使い方に、色々と制約が多く、助成金はより制約が小さくなり、支援金は比較的自由といった感じです。
なお、上記で「委託」について述べましたが、委託はあくまでも政府がやることを他の機関が行うという意味で、この補助・助成とは異なってきます。
委託は代行なので、その成果は政府に帰属するが、補助・助成ではその成果は政府に帰属しないなどの違いが出てきたりもします。
税金
税金は、財政政策の典型の1つと言えるでしょう。
増税・減税を通じて、景気をコントロールしたり、政策の実現などに使われたりします。
ただ当然ながら、個人に対する所得税、法人に対する法人税など、その対象や目的などによって、内容は変わってきます。
ここで注意が必要なのは、「控除」というものです。税率の引き下げなどを行うのではなく、課税計算に使われる金額を減らし、減税を行うというものです。
なお、減税を行うには、そもそも支払う税金が発生していなければ、減税ができないので、財政政策の効果は失われます。特に、企業支援などを考えると、現在は、税金を払っていない・支払えないといった企業が多い中、補助金のほうが志向されているように思います。
まとめ
このように、一口に財政政策といっても、色々とあります。
そして、ケインズ経済学では、同じ財政政策でも、(乗数効果の関係から)減税よりは直接執行のほうが効果的と言われたりしています。国際経済学や産業組織論では、理論的には減税と補助では経済効果は同じなどという話もあります。
ですので、財政支出と言っても、単純ではないので、注意をしましょう。