ミクロ経済学などを勉強していると、効用関数や生産関数で、
「凸集合で定義された凹関数」
「凸集合で定義された上に凸の関数」
「凸性を有している凹関数」
など、(色々な言い方がありますが)凹凸や凸凹が出てきてややこしく、何が何だか分からないことがあるかと思います。
そこで、この意味について、説明したいと思います。
【ポイント1】
まず、上記の言葉のゴールは、関数の形状を仮定することにあります。
関数といっても、色々な関数が考えられますが、一定の形状を仮定しないと、分析ができないため、「凸集合で定義された凹関数」などとして、関数の形状を仮定しているわけです。
【ポイント2】
上記の言葉には、2つの話が入っていることに注意しましょう。1つは、集合の話であり、もう1つは関数の話です。
そして、凹凸という言葉が出てきますが、集合での凸、関数での凹は意味合いが違うということです。
ここは、一つの躓きのポイントかもしれませんが、言葉としては似ていますが、違う概念になっていることに注意しましょう。
【ポイント3】
2つの話が入っているわけですが、まずは、「凸集合」を考えましょう。
(詳しくは、↓を見てください)
凸集合というのは、凹みがない集合のことで、関数を定義・仮定するにあたり、凹みがある場合を排除します。
図で表すと、次のような場合は、非凸集合で、凹みがあるような関数になっています。
このような関数を定義すると、ややこしくなるので、凸集合を仮定し、凹みをなくしています。
【ポイント4】
次に、「凹関数」を考えましょう。
凹関数の反対のものとして凸関数がありますが、これらは、関数が上に膨らんでいるのか、下に膨らんでいるのかで異なります。
(詳しくは、↓を見てください)
この2つについて、整理すると、次の通りです。
凹関数 … 上に膨らんでいる(正確には「上に凸」といいます)
凸関数 … 下に膨らんでいる(正確には「下に凸」といいます)
図で表すと、下のような形で、左側のものが凹関数、右側のものが凸関数です。
凹関数 | 凸関数 |
すなわち、効用関数や生産関数を凹関数とすることで、上に膨らんでいる(「上に凸」)関数となり、関数は逓減する形状になります。
【まとめ】
以上から、「凸集合で定義された凹関数」とはややこしい感じがあるのですが、関数について、
凸集合 ⇒ 凹みをなくす
凹関数 ⇒ 逓減するような形状にする
とするために、この2つが仮定されます。
参考
西村和雄『経済数学早わかり』