はじめに
経済学を学んでいると出てくるものとして、凹関数や凸関数があります。
凹だの凸だのややこしい感じですが、簡単に言えば、
「関数の形状がどういうものか」
を仮定するために使われます。
凹関数
凹関数とは、任意の$0 < \alpha < 1$について、
$f(\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2) \geq \alpha f(x_1) + (1 \; – \; \alpha) f(x_2)$
であるとき、関数$f(x)$は、凹関数とされます。
図で表すと、次のようになります。
$\alpha f(x_1) + (1 \; – \; \alpha) f(x_2)$は、$f(x_1)$と$f(x_2)$を結んだ直線であり、$\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2)$は$x_1$と$x_2$の間の値を示しています。
$\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2)$は$x_1$と$x_2$の間の値について、関数$f(x)$がこの直線よりも上にあるとき、凹関数とされます。
(このため、凹関数は「上に凸」と言われたりもします)
凸関数
凸関数とは、任意の$0 < \alpha < 1$について、
$f(\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2) \leq \alpha f(x_1) + (1 \; – \; \alpha) f(x_2)$
であるとき、関数$f(x)$は、凸関数とされます。
図で表すと、次のようになります。
凹関数とは逆に、$\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2)$は$x_1$と$x_2$の間の値について、関数$f(x)$がこの直線よりも下にあるとき、凸関数とされます。
(このため、凸関数は「下に凸」と言われたりもします)
簡単に言えば
任意の2点における関数の値$f(x_1)$と$f(x_2)$について、直線を引いたとき、その直線$\alpha f(x_1) + (1 \; – \; \alpha) f(x_2)$よりも
関数の値($f(\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2)$)が上にある ⇒ 凹関数(上に凸)
関数の値($f(\alpha x_1 + (1 \; – \; \alpha)x_2)$)が下にある ⇒ 凸関数(下に凸)
となります。
逓減と逓増
上記の図をみたとき、生産関数における収穫逓減・収穫逓増のものと同じではと思った方もおられると思います。
凹関数 ⇒ 収穫逓減
凸関数 ⇒ 収穫逓増
まさしくその通りなのですが、注意が必要です。
例えば、次のような関数は、凸関数(下に凸)であると言えます。
しかし到底、収穫逓増を表しているものとは言えないでしょう。この関数では、$x$が大きくなったとき、$f(x)$が減少する部分があるからです。
ですので、凸関数に加えて、単調増加という仮定が加わると、収穫逓増と言えることになり、注意が必要です。
参考
西村和雄『経済数学早わかり』