ミクロ経済学などで、凸集合(凸性)というものが出てきたりします。
凹凸の凸であり、凹んでいない集合なのですが、何だかよく分からない感じがある方のために、凸集合について説明したいと思います。
まず、凸集合の定義を考えましょう。
集合$X$の任意の2点$x \, , \, y$と、任意の$\alpha \; (0 \leq \alpha \leq 1)$について、次が成立するとき、集合$X$は、凸集合である。
$\alpha x + (1 \; – \; \alpha) y \in X$
数式の意味を文章で説明すると、集合$X$内にある任意の2点$x$と$y$を結んだ線上の点も集合$X$に含まれていることを意味しています。
逆に言えば、集合$X$内にある任意の2点$x$と$y$を結んだ線上の点が、集合$X$内にないような場合には、凸集合ではないことになります(「非凸集合」と言ったりします)。
数式や文章では分かりにくいかもしれないので、図でも説明しましょう。
まずは、下のような場合には、点$x$と$y$を結んだ線はすべて集合内に収まっているので、凸集合になります。
凸集合の場合
逆に、下のような場合には、点$x$と$y$を結んだ線は、集合からはみ出している部分があり、凸集合ではありません。
非凸集合の場合
凸集合がどういうものかは、図で見れば、一目瞭然で分かりやすいと思います。
ところで、経済学において、凸集合が仮定されるのではなぜでしょうか。
ここで、非凸集合で定義された関数を考えて、図にしてみましょう。
下図のように、関数に凹みがあるようなものになっており、関数が増減している状態になります。これでは、効用関数にせよ、生産関数にせよ、消費量や生産要素が増加しても、一時的には効用や生産量は減少したりするような状態になってしまい、不都合です。
非凸集合で定義された関数
経済学においては、単調に収穫逓減・収穫逓増が仮定されるため、それを保証するために、この凸集合という概念が必要になってきます。
参考
西村和雄『経済数学早わかり』