ヤコビ行列(ヤコビアン)
経済学において、動学モデルなどで、ヤコビ行列が出てきます。
ヤコビ行列(ヤコビアン)とは、関数について、1階微分したものの行列です。
例えば、次のように、2つの式があるとします。
$y_1 = f(x_1 \, , \, x_2)$
$y_2 = g(x_1 \, , \, x_2)$
これを全微分すると、
$d y_1 = f_1(x_1 \, , \, x_2) x_1 + f_2(x_1 \, , \, x_2) x_2$
$d y_2 = g_1(x_1 \, , \, x_2) x_1 + g_2(x_1 \, , \, x_2) x_2$
となりますが、これを行列で表すと、
$\begin{bmatrix}
d y_1 \\
d y_2 \\
\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}
f_1 & f_2 \\
g_1 & g_2\\
\end{bmatrix} \begin{bmatrix}
x_1 \\
x_2 \\
\end{bmatrix}$
となりますが、この
$\begin{bmatrix}
f_1 & f_2 \\
g_1 & g_2\\
\end{bmatrix}$
が、ヤコビ行列になります。
多変数の場合
$m$個の変数$y_i \; (i = 1 \, \cdots \, m)$と$n$個の変数$x_j \; (j = 1 \, \cdots \, n)$について、次のような連立方程式を考えます。
$y_1 = f_1 (x_1 \, \cdots \, x_n)$
$\vdots$
$y_m = f_m (x_1 \, \cdots \, x_n)$
このとき、ヤコビ行列は、次のようになります。
$\dfrac{\partial \mathbf{f}(\mathbf{x})}{\partial \mathbf{x}} = \begin{bmatrix}
\dfrac{\partial f_1}{\partial x_1} & \cdots & \dfrac{\partial f_1}{\partial x_n} \\
\vdots & \ddots & \vdots\\
\dfrac{\partial f_m}{\partial x_1} & \cdots & \dfrac{\partial f_m}{\partial x_n} \\
\end{bmatrix}$
参考
西村和雄『経済数学早わかり』
ピーター・バーク、クヌート・シュドセーテル『エコノミスト数学マニュアル』