はじめに
経済学においては、同次関数がよく出てきます。
次のような式が成立する場合に、$f(\textbf{x})$は$k$次同次であるとされます。
$f(t x_1 , \cdots , t x_n) = t^k f(x_1 , \cdots , x_n) (t>0) \cdots (1)$
この同次関数について、オイラーの定理という便利な式があります。
オイラーの定理
オイラーの定理とは、次のようなものです。
$\displaystyle \sum_{i=1}^n x_i f’_i(\textbf{x}) = k f(\textbf{x})$
なお、この式は、$f(\textbf{x})$が$k$次同次であるための必要十分条件になっています。
導出方法
$(1)$式について、$t$で微分すると、
$f_1(t x_1 , \cdots , t x_n) \cdot x_1 + \cdots + f_n(t x_1 , \cdots , t x_n) \cdot x_n = k t^{k-1} f(\textbf{x})$
が得られ、$t=1$とすると、オイラーの定理を導出することができます。
n=2の場合
上記の式では分かりにくい部分もあるかもしれませんので、$n=2$の場合のオイラーの定理を挙げておくと、
$x_1 \dfrac{\partial f(x_1 , x_2)}{\partial x_1} + x_2 \dfrac{\partial f(x_1 , x_2)}{\partial x_2} = k f(x_1 , x_2)$
となります。
例
次のようなコブ=ダグラス型生産関数をもとに、オイラーの定理について、例を挙げておきましょう。
$Y = L^a K^{1-a}$
まずはこの式は、
$t Y = (t L)^a (t K)^{1-a} = t^a \cdot t^{1-a} L^a K^{1-a} = t L^a K^{1-a}$
ですので、1次同次関数であることが分かります。
オイラーの定理に戻り、上記のコブ=ダグラス型生産関数について、左辺と右辺を計算してみましょう。
(左辺)$a L^{a-1} K^{1-a} \cdot L + (1-a)L^a K^{-a} \cdot K = L^a K^{1-a}$
(右辺)$1 \cdots Y = L^a K^{1-a}$
これらから、左辺=右辺であり、オイラーの定理が成立していることが分かります。
参考
ピーター・バーク、クヌート・シュドセーテル『エコノミスト数学マニュアル』
入谷純・加茂知幸『経済数学』