概要
外貨割当制度とは、政府が外貨を割り当てる企業を選定した1950年代に行われた産業政策です。
内容
1950年代、日本経済は国際収支が赤字基調であり、外貨が不足していました。そこで政府は、外貨を節約するとともに、外貨獲得を促進するため、外国為替管理法や輸入貿易管理令などにより、貿易を管理しました。
他方、産業育成の管理から、国内で工業化が必要な産業については、輸入を制限するため、外貨の割当を少なくし、原材料などの必要な資源の調達には、外貨割当を増加させるという措置を行いました。
例えば、原油輸入については多くの外貨が割り当てられ、石油製品については最小限に留められるという措置が行われました。
効果
この外貨割当制度により、大きな効果としては、輸入代替工業化が進められたとされています。
また、輸出が促進されるような資源の獲得については、優先的に外貨が割り当てられたため、輸出振興にも寄与したとされます。
他方、政府が特定産業や一部の企業に対して割当てを決定していたため、それが必ずしも市場動向と合っているとは限らず、レントが発生するという問題が発生しました。
例えば、多くの外貨を割り当てられた企業が、その資金を市中で売買するということも行われていました。
このように、一定の効果はあったとされていますが、同時に政府の失敗も生じていたとされています。
参考
橋本寿朗 他『現代日本経済』