ある分布があるとき、その分布がどのような形状であるかを知りたいときがあります。
この分布の形状を知るときに使われるものとして、積率(モーメント)があります。
積率
原点の周りのn次モーメント
原点の周りのn次モーメントを$m’_n$とすると、次のような式になります。
$m’_n = E(X^n)$
なお、この式から、1次のモーメントは、
$m’_1 = E(X) = \mu$
であり、平均になります。
また、2次のモーメントは、
$m’_2 = E(X^2)$
であることから、分散を$\sigma$とすると、
$\sigma = E(X^2) \; – \; (E(X))^2 = m’_2 \; – \; (m’_1)^2$
で表すことができます。
平均の周りのn次モーメント
平均を$\mu$とし、平均の周りのn次モーメントを$m_n$とすると、次のような式になります。
$m_n = E((X \; – \; \mu)^n)$
積率母関数
モーメントを求めるにあたり、積率母関数$M(\theta)$が用いられることがあります。
積率母関数は、次のように定義されます。
$M(\theta) = E(e^{\theta X})$
ここで、
$\displaystyle e^{\theta X} = 1 + \dfrac{\theta X}{1 !} + \dfrac{(\theta X)^2}{2 !} + \cdots + \dfrac{(\theta X)^r}{r !} + \cdots$
という公式があるので、この式を使うと、積率母関数は、次のようになります。
$\displaystyle M(\theta) = m’_0 + \dfrac{\theta}{1 !} m’_1 + \dfrac{\theta^2}{2 !} m’_2 + \cdots + \dfrac{\theta^r}{r !} m’_r + \cdots$
この式を使えば、$\theta$について、$r$回偏微分し、$\theta = 0$とすると、$r$次のモーメントを得ることができます。
$\displaystyle \dfrac{\partial^r M(\theta)}{\partial \theta^r} \biggm\vert_{\theta = 0} = m’_r$
参考
横山真一郎・関哲朗・横山真弘『基礎と実践 数理統計学入門』
中村隆英『統計入門』
国沢清典・羽鳥裕久『数理統計演習』