概要
特化係数(Specialization Coefficient)とは、簡単に一言で言えば、
「ある地域の産業が、全国と比べて、どれだけ多いか少ないかを示す指標」
です。
例えば、都道府県で言えば、東京都はサービス業が強いが農業は弱い、北海道は農業が強いなどが分かる指標です。
地域経済学においては、重要な考えですので、この考え方を含め、説明します。
特化係数
特化係数について、上記の通り、簡単に説明しましたが、正確に言うと、次の通りです。
「ある地域のある産業の比率と、全国のある産業の比率を比べたもの」
数式で言えば、あるA産業についていえば、
特化係数 = ある地域のA産業の比率 ÷ 全国のA産業の比率
で定義されます。
そして、この比率については、就業者数・付加価値額など、何でもいいのですが、そのデータに基づいた特化係数が算出されることになります。
なお、データとして、就業者数が都道府県はもとより市町村でも得られるので、就業者数はよく利用されます。
数値例
上記の定義では分かりにくいので、数値例で説明しましょう。
全国は地域1と地域2の2つの地域で構成されているとして、A産業とB産業があるとします。
このとき、地域1ではA産業が20%、B産業が80%の割合、地域2ではA産業が50%、B産業50%、全国ではA産業が35%、B産業65%だったとします。
A産業 | B産業 | 合計 | |
---|---|---|---|
地域1 | 20% | 80% | 100% |
地域2 | 50% | 50% | 100% |
全国 | 35% | 65% | 100% |
グラフにすると、下図のような感じです。

このとき、特化係数は、次のように計算されます。
地域1のA産業の特化係数 = 地域1のA産業の比率 ÷ 全国のA産業の比率 = 0.2 ÷ 0.35 = 0.6
地域1のB産業の特化係数 = 地域1のB産業の比率 ÷ 全国のB産業の比率 = 0.8 ÷ 0.65 = 1.2
地域2のA産業の特化係数 = 地域2のA産業の比率 ÷ 全国のA産業の比率 = 0.5 ÷ 0.35 = 1.4
地域2のB産業の特化係数 = 地域2のB産業の比率 ÷ 全国のB産業の比率 = 0.5 ÷ 0.65 = 0.8
この特化係数を表にすると、下表のような感じになります。
A産業 | B産業 | |
---|---|---|
地域1 | 0.6 | 1.2 |
地域2 | 1.4 | 0.8 |
このときに、特化係数が1よりも大きい産業は、その地域にとって特化しているといいます。
例で言えば、
地域1 … B産業が特化
地域2 … A産業が特化
となります。
最後に
特化係数については、地域の産業構造を理解するのに使われることが多いです。
ただ、地域の比率と全国の比率を比べれば、特化係数が計算できるので、産業構造だけの話ではありません。
比率を比較できれば、都道府県別の夫の家事労働の特化係数など、他にも特化係数は使えるので、しっかり理解・覚えておきましょう
(なお、実際の統計データを使ったものとして、「各都道府県でどの産業が特化しているのか(産業別の特化係数)(エクセル付き)」を書きました。興味があれば、ご覧ください)