はじめに
都市や町の人口を比較すると、東京のような大都市もあれば、過疎化が進んだ町のようなものもあります。
人口の規模に関して、順位をつけたとき、1位の都市の人口は最も大きく、最下位の都市の人口は最も小さくなるわけですが、この順位と人口の規模について、一定の関係・法則があることが古くから知られています。
例えば、日本の都道府県の人口について、横軸に順位、縦軸に人口とすると、次のようなグラフになります。
(データは、総務省統計局の2021年の人口推計を用いています)
右下がりなのは当然ですが、何となく、弧を描いたような点の並びになっています。これを更に分かりやすくするため、人口について対数をとったものが、下のグラフです。
人口の順位と人口(対数化)の間には、きれいな直線の関係がありそうです。
このように、古くから、人口の順位と人口の間には関係があることが知られており、順位・規模分布と言われています。
なお、ジップ分布(ジップの法則、ジフの法則)とも呼ばれ、このような関係を見つけ出したアメリカの学者ジップから命名されています。
ジップ分布
この分布について、よく用いられる数式が次のようなものです。
$r^\lambda P = C$
$P$は人口で、$r$は順位で、$\lambda \, , \, C$はパラメーターです。
この式を使うと、人口と順位の間の関係を調べたとき、当てはまりがよいとされています。
実証
エクセルでも簡単に計算できるので、実際に計算してみましょう。
上記の式は、非線形なので、対数化すると、次のような式になり、、パラメーター$\lambda \, , \, C$を推計することになります。
$ln P = C \; – \; \lambda \ln r$
そして、 日本の都道府県別の人口について、実際の推計結果は、次のようなものです。
$ln P = 10.09 \; – \; 0.88 \ln r$
$(-31.92)$ $120.29$
$R^2 = 0.958$、$\bar{R}^2 = 0.957$
係数の下の$()$の数値は、t値であり、いずれも有意であることが分かります。決定係数$R^2$、修正済み決定係数$\bar{R}^2$いずれも値がよく当てはまりがよいことが分かります。
最後に
実際に、上記の日本の都道府県データをもとに調べた実証について、エクセルファイルもつけておきます。
自由に、ダウンロードしてみてください。
参考
山田浩之・徳岡一幸編『地域経済学入門』