こんな方におすすめ
経済学における需要と供給については、一般常識的な感じもあり、そう難しくはありません。
ただ、私が最初に経済学を勉強したとき、
「実際に曲線を描いて、変化させたらどうなるのだろう」
と思ったものでした。
このような私と同じように、
「需要と供給をグラフで直観的に体感したい」
「需要と供給を変化させてみたい」
と思う方もいると思います。とはいえ、若干面倒。
ということで、エクセルで直観的に需要・供給の関係が分かったり、曲線を変化させたいという方のために、投稿を作成しました。
(無料で自由にダウンロードできるエクセルファイルを用意してます)
需要と供給
念のため、需要と供給について、述べておきます。
需要と供給とは、横軸に財の量、縦軸に価格をとったとき、需要曲線は右下がりで、供給曲線は右上がりといったグラフになります。一般常識的ともいえるので、見たことがある方も多いと思います。
ただ、経済学的には、そもそもの曲線の状態に加え、それらの曲線が変化したときに、どうなるのかのほうが遥かに重要です。
例えば、曲線の傾きが変化したり、それぞれの曲線がシフトしたとき、どうなるかという点です。
使い方
モデルとしては、供給曲線・需要曲線は、次のようなものとしています。
(Pは価格、Xは財の量、s、dは係数、S、Dは定数)
(供給曲線) P = sX + S
(需要曲線) P = dX + D
使い方は、エクセルファイルの黄色部分を動かすと、グラフが変わり、需要と供給が一致する財の均衡量と均衡価格が計算される形になっています。
ポイント
最初に、供給曲線・需要曲線の変化が重要だと言いましたが、まさしくここがポイントです。
上記では、グラフを意識した供給曲線・需要曲線としましたが、企業・消費者はプライステーカーとして行動するので、一般的な形は、次のようになります。
(供給曲線) X = (P – S) ÷ s
(需要曲線) X = (P – D) ÷ d
ここで、それぞれの曲線の係数や定数であるS・s・D・dが変化したとき、財の量X、財の価格Pがどうなるが重要ですので、それぞれについて、説明します。
(供給曲線)
・「s」は、企業の価格に対する反応度であったり、企業の生産技術などを表します。
この変化は、供給曲線の傾きの変化をもたらします。
sが大きくなれば、企業は価格に対して反応度は小さくなったり、企業の生産量は小さくなります。
この結果、価格は高く、生産量は小さくなります。
・「S」は、企業の固定費的なものです。
この変化は、供給曲線のシフトをもたらします。
固定費が大きくなると、供給量は小さくなり、価格も高くなります。
(需要曲線)
・「d」は、消費者の価格に対する反応度であったり、消費者の財への態度などを表します。
この変化は、需要曲線の傾きの変化をもたらします。
dが小さくなれば(マイナスが大きくなれば)、消費者は価格に対して反応度は小さくなったり、あまり消費者はその財を求めない状態になります。
この結果、価格は高く、需要量は小さくなります。
(なお、dがプラスのときは、ギッフェン財です。)
・「D」は、消費者の予算なものです。
この変化は、需要曲線のシフトをもたらします。
予算が大きくなると、需要量は大きくなり、価格も高くなります。
まとめ
単なる数値遊びみたいな感じありますが、供給曲線・需要曲線の変化について、体感できるのではないかと思います。
特に、傾きが変わる場合と、シフトが起こる場合があり、この点は重要です。
例えば、需要曲線において、係数dの変化は消費者の態度の変化であり、定数Dの変化は予算の変化を表すからです。変化は変化でも、このように違いがあるので、注意しましょう。
無料ですので、ちょっとダウンロードして、体験していただければと思います。
おまけ
下のグラフは、多くの方が見たことがあると思いますし、経済学と言えば、このグラフを思い起こすことが多いと思います。
ただ、実は経済学的には、このグラフは経済現象の一部分を説明しているにすぎません。
なぜならば、ある1つの財についての需要と供給の関係しか見ていないからです。例えば、ジュースだけの需要と供給はこのグラフを考えれば、済むかもしれませんが、実際はお茶の需要などの影響を受けたりもします。
その意味で、一般的に知られているこのグラフの理論は「部分均衡」と呼ばれています(一部分の経済現象などので、「部分」という言葉が使われています)。
当然ながら、(細かな説明は省略しますが)それを拡張した「一般均衡」という理論もあります。
とはいえ、この「部分均衡」は分かりやすく、分析するのに簡便なところも多いので、経済学でもよく使われています。
ちょっと、入門者向けの内容としては超える部分があるかもしれませんが、もう少し経済学を学べば出てきますし、そうでなくても、このあたりは覚えておいてもいいと思います。