はじめに
経済学においては、価格は需要と供給で決まるとされますが、実際の経済を見ていると、価格は頻繁に変わることはなく、むしろ硬直的であると考えられます。
この価格の硬直性を説明するものとして、アメリカ人経済学者スウィージー(Sweezy)による「屈折需要曲線の理論」というものがあります。
屈折需要曲線の理論
この理論の前提としては、企業は、次のような行動をとります。
・企業が価格を引き下げると、他の企業の対抗し、価格を引き下げる。
この結果、価格引き下げ前よりも、販売量は伸び悩むと予想する。
・企業が価格を引き上げるときには、他の企業は自社の販売量増加につながるため、価格はそのままにする
・企業は独占的競争で行動する
この状況を、図で表すと、次のようになります。
まず、上記の企業行動から、逆需要関数を考えると、屈折した需要関数になります。価格が高いときは、他社は価格は据え置くのですが、価格を引き下げると他社も価格を引き下げるため、需要は伸び悩み、曲線の傾きは急になります。
(需要量がXの左側よりは、右側のほうで、屈折需要曲線の傾きが急になっていることに注意してください)
そして、この屈折需要曲線のもとでは、限界収入は、需要量Xで非連続的になります。このとき、この企業は独占的競争で行動するため、
限界収入 = 限界費用
が最適な行動になるわけですが、
Xよりも大きく供給するとき、 限界収入 < 限界費用
Xよりも少なく供給するとき、 限界収入 > 限界費用
となるため、Xでその企業は生産を続けることになり、価格はPで硬直化することになります。
最後に
この屈折需要曲線の導出にあたっては、上記のように、非現実的な仮定があるため、実際そうなのかと考えれば、疑問があるでしょう。
ですので、私個人としては、1つの考えとして、知っておく程度でいいのではないかと思います。
なお、価格の硬直性の原因については、マクロ経済学では、メニューコストの存在などに求めたりもしているので、合わせて勉強してもいいかもしれません。