はじめに
経済学において、非常に重要な概念である「パレート最適」(パレート効率)。
文章で定義すると、
「ある人の効用を増加させようとしたとき、他の人の効用を減少させてしまう状態」
となります。
言い方を変えると、
「他の人の効用を減少させずに、ある人の効用をそれ以上増加させることができない状態」
とされます。
このパレート最適について、数学的な定義を説明します。
数学的な定義
$n$財$k$人存在するような経済を考え、$i$財が消費する財の組み合わせを$\textbf{x}^i$や$\textbf{y}^i$とし、効用関数を$u^i(x^i)$とします。
このとき、パレート支配が定義され、パレート支配がない状態がパレート最適とされます。
パレート支配(パレート優越的)の定義
$\textbf{y}^i$が$\textbf{x}^i$をパレート支配するとは、
「$u^i(\textbf{y}^i) \geq u^i(\textbf{x}^i) (i = 1 , \cdots , n)$
を満たし、かつ少なくとも1個が狭義の不等号で成り立つ」
ことを意味します。
(別表現)
次の2つの条件を満たすとき、$\textbf{y}^i$が$\textbf{x}^i$をパレート支配します。
「① すべての消費者$i$について、$u^i(\textbf{y}^i) \geq u^i(\textbf{x}^i) (i = 1 , \cdots , n)$が成り立つ
② 少なくとも1人の消費者$i$について、$u^i(\textbf{y}^i) > u^i(\textbf{x}^i) (i = 1 , \cdots , n)$が成り立つ」
パレート最適(パレート効率的)の定義
パレート最適の定義は次のようになります。
「パレート支配するような配分$\textbf{x}^i$が存在しないとき、その資源配分はパレート最適である」
最後に
パレート最適の文章による定義も回りくどいですが、厳密な数学的な定義においても、パレート支配の概念を定義して、パレート支配がない状態がパレート最適であるという、少しややこしい論理になっています。
ただ、経済学においては、重要な概念であることは間違いないので、しっかりと覚えておくことが必要です。
参考
武隈愼一『ミクロ経済学』
西村和雄『ミクロ経済学』
奥野正寛(編著)『ミクロ経済学』