はじめに
基本的な時系列モデルとして、例えば、次のようなものがあります。
(AR(p)モデル)
$y_t = \phi_{1}y_{t-1} + \phi_2 y_{t-2} + \quad \cdots \quad + \phi_p y_{t-p} +u_t$
(MA(q)モデル)
$y_t = u_t + \theta_1 u_{t-1} + \theta_2 u_{t-2} + \quad \cdots \quad + \theta_q u_{t-q}$
(ARMA(p , q)モデル)
$y_t = \phi_{1}y_{t-1} + \phi_2 y_{t-2} + \quad \cdots \quad + \phi_p y_{t-p} + u_t + \theta_1 u_{t-1} + \theta_2 u_{t-2} + \quad \cdots \quad + \theta_q u_{t-q}$
なお、$u_t$はホワイトノイズです。
ただ、式が長かったり、扱いづらかったりするので、簡単に表せるものとして、ラグ・オペレーターとラグ多項式を使った方法があります。
ラグ・オペレーター
時系列モデルは、変数として、時間がズレたものなので、ラグ・オペレーター$L^k$を使って、次のように定義できます。
$L^k y_t = y_{t-k} \quad (k = 1 \, , \, \cdots)$
なお、$L^0=1$として、$L^0 y_t =y_t$とします。
このとき、上記のモデルはそれぞれ次のように表すことができます。
(AR(p)モデル)
$(1 \; – \; \phi_{1} L^1 \; – \; \phi_2 L^2 \; – \; \quad \cdots \quad \; – \; \phi_p L^q )y_t = u_t$
(MA(q)モデル)
$y_t = (1 +\theta_1 L^1 + \theta_2 L^2 + \quad \cdots \quad + \theta_q L^q) u_t$
(ARMA(p , q)モデル)
$(1 \; – \; \phi_{1} L^1 \; – \; \phi_2 L^2 \; – \; \quad \cdots \quad \; – \; \phi_p L^q )y_t = (1 +\theta_1 L^1 + \theta_2 L^2 + \quad \cdots \quad + \theta_q L^q) u_t$
これらを見てわかるように、$t$のみの$y_t \, , \, u_t$でモデルが表現できます。
ラグ多項式
更に、ラグ・オペレーターの式について、次のようなタグ多項式を定義します。
$\phi(L) = 1 \; – \; \phi_{1} L^1 \; – \; \phi_2 L^2 \; – \; \quad \cdots \quad \; – \; \phi_p L^q$
$\theta(L) = 1 +\theta_1 L^1 + \theta_2 L^2 + \quad \cdots \quad + \theta_q L^q$
このとき、上記のモデルは、次のように簡略化して、表すことができます。
(AR(p)モデル)
$\phi(L) y_t = u_t$
(MA(q)モデル)
$y_t = \theta(L) u_t$
(ARMA(p , q)モデル)
$\phi(L) y_t = \theta(L) u_t$
参考
山本拓『経済の時系列分析』
羽森茂之『ベーシック計量経済学』