概要
ミクロ経済学を学ぶと、最初のほうで、消費者行動について学ぶとき、「無差別曲線」という言葉ができています。
そして、曲線として、次のようなグラフが示されると思います。
どうもこの部分は、言葉が難しく、理解しにくい面があると思います。
そして、何となく、「このようなものがあるんだ」ということで終わっていることも多いように感じます。
ただ、無差別曲線の考え自体は、ミクロ経済学の消費者行動だけに使われるものではありません。
無差別曲線の基本的な考えをしっかりと抑えておかないといけないと思いますので、例を交えながら、説明します。
無差別曲線
例を挙げる前に、無差別曲線の意味をしっかりと定義しておきましょう。
正式かどうかは分かりませんが、
「無差別曲線とは、同じ結果が得られるような組み合わせについて描いた曲線」
と言えるでしょう。
これでは、何のことか分からないので、例を交えて説明します。
例
財の消費
一般的に経済学で登場するが、財の購入にあたってのものです。
ここで、りんごとみかんを消費するとして、それぞれ1個消費すると、効用が1プラスされるとします。
このとき、効用が10になるパターンは、いくつあることが分かります。下表では、5つのパターンを挙げています。
例えば、パターン1では、りんごを9個、みかんを1個消費し、効用は10となっています。パターン3では、それぞれ5個ずつ消費し、効用は10になっています。
パターン1 | パターン2 | パターン3 | パターン4 | パターン5 | |
---|---|---|---|---|---|
りんご | 9個 | 7個 | 5個 | 2個 | 1個 |
みかん | 1個 | 3個 | 5個 | 8個 | 9個 |
効用 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
ここでは、5つのパターンを例示しましたが、効用が10になるりんごとみかんはいくつもあることになります。このりんごとみかんの消費パターンを曲線で表したものが無差別曲線になります。
時間
無差別曲線は、財の消費以外にも描くことは可能です。
(現実としてはありませんが)勉強と睡眠しかしない人を考えましょう。
人間は1日24時間しかないので、24時間内で、勉強や睡眠の組み合わせを考えることになります。
例えば、パターン1では、20時間勉強し、睡眠は4時間しかとらない状態です。パターン2は16時間勉強し、8時間の睡眠をとるパターンとなっています。
パターン1 | パターン2 | パターン3 | パターン4 | パターン5 | |
---|---|---|---|---|---|
勉強 | 20時間 | 16時間 | 12時間 | 10時間 | 8時間 |
睡眠 | 4時間 | 8時間 | 12時間 | 14時間 | 16時間 |
総時間 | 24時間 | 24時間 | 24時間 | 24時間 | 24時間 |
ここでは、5つのパターンを例示しましたが、1日24時間内で、他にも勉強と睡眠のパターンはいくつもあります。そして、この勉強と睡眠の時間について、曲線を描くと、無差別曲線が得られます。
まとめ
上で無差別曲線について、
「無差別曲線とは、同じ結果が得られるような組み合わせについて描いた曲線」
と書きました。違う言い方をすれば、
「無差別曲線とは、一定の条件下での組み合わせについて描いた曲線」
ともいえるでしょう。
上記の例では、効用が10、時間が24時間というもとので、消費や行動の組み合わせになっています。
そして、一定の条件下で、(トレードオフがあり)いくつも組み合わせがあるような場合には、無差別曲線を描くことができます。