はじめに
ソロー・モデルのように、伝統的な成長理論では、技術成長は外生的に与えられており、各経済主体はコントロールできないものとされています。
しかし、それを企業の最適化行動の結果、技術開発が行われ、技術成長も起こると考えたのが、内生的成長理論です。
そしてこの内生的成長理論のモデルの1つとして、ローマー・モデルがあります。
このローマー・モデルについて、単純・簡略化されたものを説明したいと思います。
ローマー・モデル
経済全体の人口を$N$とし、財生産部門と研究開発部門の2つがあり、前者に従事する労働者数を$N_P$、後者に従事する研究者数を$N_R$とします。
$L = N_P + N_R$
ここで、人口当たりの労働者数と研究者数を$n_P \, , \, n_R$とすると、この式は、次のようになります。
$n_P + n_R = 1 \quad \cdots \quad (1)$
財生産
ところで、財の産出量を$Y$とし、この経済では財生産部門の労働者のみで、財が作られるとします。
$Y = A N_P$
ここで、$A$は技術ストック・技術力を表わすもので、$A$が高いほど、財の産出量も多くなります。
人口当たりの産出量を$y$とすると、
$y = \dfrac{Y}{N} = A n_P \quad \cdots \quad (2)$
となります。
研究開発
技術ストック$A$は、研究者によって開発されるとし、技術ストックの増加は、次のようになるとします。
$\dot{A} = \alpha n_R A$
$\alpha$は正のパラメーターで、既存の技術ストックが多ければ多いほど、研究者が多いほど、新たに蓄積される技術ストックも多くなることを表しています。
この式を変形すると、技術進歩率
$\dfrac{\dot{A}}{A} = \alpha N n_R \quad \cdots \quad (3)$
を得ることができます。
人口当たりの経済成長率
以上から、人口当たりの経済成長率$\dot{y}/y$を考えます。
まず、$(3)$式において、技術進歩率が一定であると仮定し、人口成長もないものとすると、$(1)$式から、$n_P \, , \, n_R$は一定になります。
このため、$(2)$式において、時間微分すると、
$\dfrac{\dot{y}}{y} = \dfrac{\dot{A}}{A}$
となります(このような場合を「均斉成長」などと言ったりもします)。
、そして、$(3)$式を用いると、
$\dfrac{\dot{y}}{y} = \alpha N n_R$
を得ることができます。この式から、人口当たりの経済成長率は、人口と研究者数の割合で決まることになります。
すなわち、人口当たりの経済成長率は、
・人口が多いほど、成長率は高くなる
・人口に対する研究者数の割合が多いほど、成長率は高くなる
ことが分かります。
最後に
このローマー・モデルにおいては、人口が多いほど、経済成長ができるという結論になっています。
そして、この効果を「規模効果」と言いますが、実証的には、明確な結論は出ていません。
参考
齊藤誠・岩本康志・太田聰一・柴田章久『マクロ経済学』