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伝統的な3つの技術進歩

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投稿マクロ経済学初級
今では古めかしい感じもありますが、経済学における3つの技術進歩について、説明しています。
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はじめに

 技術進歩といった場合、どのような形で起こるのでしょうか。

 技術進歩が企業によって起こるとされると、技術進歩は企業の生産活動に影響を与えるはずです。そしてそれは、企業の生産要素である労働や資本に技術進歩は起こると考えられます。

 このような考えのもと、伝統的には3つの種類の技術進歩があるとされます。

3つの技術進歩

 企業は、生産関数$f$のもと、労働$L$、資本$L$を用いて、産出量$Y$を生産するとします。
 このとき、この企業の生産関数は、次のようになります。

  $Y = f(K , L)$

 この生産関数をベースに、3つの技術進歩を整理します。

ハロッド中立的技術進歩

 ハロッド中立的技術進歩とは、資本を一定として、労働がどれだけ節約されるかというものを技術進歩と考えたものです。
 技術進歩を$A$とすると、ハロッド中立的技術進歩では、生産関数は次のようになります。

  $Y = f(K , A L)$

 技術進歩は、労働$L$の係数になります。

ソロー中立的技術進歩

 ソロー中立的技術進歩とは、労働が一定の中で、資本がどれだけ節約されるかというものを技術進歩と考えたものです。
 このもとで生産関数は、技術進歩が資本の係数となり、次のようになります。

  $Y = f(A K , L)$

ヒックス中立的技術進歩

 ヒックス中立的技術進歩とは、労働や資本とは無関係に技術進歩があると考えるもので、生産関数は、次のようになります。
 このもとで、労働や資本を増減させても、それ以外の要素で、生産量は増えることになります。

  $Y = A f(K , L)$

最後に

 技術進歩と言っても、どこで起こるかで、技術進歩の影響は変わってきます。
 そしてこのような議論があったからこそ、上記のように経済学的には技術進歩のタイプが分けられたりもします。

 とはいえ、現在ではこのような技術進歩の区別は、あまり重要ではないでしょう。

 例えば、次のような生産関数を考えます。

  $Y = a K + b L$

 このとき、資本や労働に技術進歩があったとして、ソロー中立的技術進歩やハロッド中立的技術進歩があれば、資本や労働の係数$a$や$b$に反映されるはずです。

 また、ハロッド中立的技術進歩があるとして、便利なコブ=ダグラス型の生産関数を考えれば、

  $Y = K^\alpha (AL)^\beta = A^\beta K^\alpha L^\beta$

という形で、技術進歩・資本・労働の生産要素を分離できるので、技術進歩というパラメーターを用意すれば、むしろヒックス中立的技術進歩のように、技術進歩を分けたほうが、都合がいいとも言えます(資本や労働に技術進歩があれば、それぞれの累乗$\alpha$や$\beta$に反映されます)。

 むしろ、現実の世界を考えれば、資本と労働は絶えず変化する中で、どちらに起こった技術進歩を考えるのは意味がなく、それらとは独立したものとして、技術進歩を取り扱ったほうが便利でしょう。

 このような意味で、技術進歩としては、3つのタイプがありますが、現在はあまり意味がないという感じだと思います。

参考

  福田慎一・照山博司『マクロ経済学・入門

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