絶対優位
自国と外国があり、財Aと財Bを生産しているとします。このとき、自国と外国で財A・Bを1単位生産するのに必要な労働力が、次のようになっているしましょう。
財A | 財B | |
---|---|---|
自国 | 5 | 5 |
他国 | 20 | 10 |
自国では財A・財Bを生産するのに、共に労働力が5必要であり、他国では財Aを生産するのに労働力が20、財Bを生産するのに労働力が10必要というわけです。
自国のほうが他国よりも、財A・財Bともに生産するのに必要な労働力が少なくて済むので、この二国で貿易が行われたとき、自国が一方的に他国に2財とも輸出する状況が考えられます(このような状態を「絶対優位」と言います)。
比較優位
上記の表について、改めて見てみると、自国では財A・財Bどちらを生産しても、必要な労働力が同じなのに対して、他国においては、財Aと財Bで必要な労働力が異なっています。
他国では、財Aを生産するのを減らせば、より財Bを生産することができます。
例えば、財Aの生産を1単位減らせば、財Bを2単位生産できることを示しています。逆に言えば、財Aの生産を1単位増やすには、財Bの生産を2単位減らす必要があります。
このとき、財Bを1単位生産するのに必要な労働力を基準にしたとき、財Aを1単位生産するのに必要な労働力は、
自国 : 5 ÷ 5 = 1
他国 : 20 ÷ 10 = 2
となります。
逆に、財Aを1単位生産するのに必要な労働力を基準にしたとき、財Bを1単位生産するのに必要な労働力は、
自国 : 5 ÷ 5 = 1
他国 : 10 ÷ 20 = 1/2
となります。
これらのことから、自国においては他国よりも、相対的に財Aを生産するのに必要な労働力は少なく、逆に、他国は自国よりも、相対的に財Bを生産するのに必要な労働力は少ないことを示しています。
このようなとき、自国は財Aに対して「比較優位」にあり、他国は財Bに対して「比較優位」にあるとされます。
そしてこのとき、自国は財Aを輸出し、他国は財Bを輸出するような形で貿易が行われるとされます。
参考
井手豊也『ビギナーのための国際経済学』