国際貿易においてヘクシャー・オリーン・モデルを想定すると、要素賦存量が貿易パターンを決定することになります。
例えば、資本が相対的に豊富な国は資本集約的な財を輸出し、労働が相対的に豊富な国は労働集約的な財を輸出することになります。
ところが、この結果とは反する実証研究が1953年にレオンチェフから発表されました。
Leontief Wassily(1953)「Domestic Production and Foreign Trade; The American Capital Position Re-Examined」
当時のアメリカの経済において、資本が豊富なため、資本集約的な財を輸出していると想定されましたが、実際は労働集約的な財を輸出していました。
つまり、ヘクシャー・オリーン・モデルは間違っているのではないかというのが、「レオンチェフ・パラドックス」(Leontief Paradox)です。
ただ、多くの国と貿易を行っている中で、同じ財にしても、ある国との貿易では労働集約的だが、別の国との貿易では資本集約的な財になったりもします。また、ヘクシャー・オリーン・モデル自体、いくつかの仮定をおいていることから、現実の世界とはズレが生じるのは当然ともいえるでしょう。
とはいえ、ヘクシャー・オリーン・モデル自体は洗練されたモデルであり、国際経済学を学ぶにあたっては、非常に重要なモデルであることには変わりはありません。
(参考)
友原章典『理論と実証から学ぶ 新しい国際経済学』