はじめに
国際経済学を学ぶとき、リカード・モデルの次に出てくるのが、ヘクシャー=オリーン・モデルです。
現実的には、貿易はこのモデルに従って行われているわけではなく、このモデルが当てはまらないことが多いです。
(このため、新貿易理論が登場しました)
とはいえ、モデル的には洗練されており、国際経済学においては、重要なモデルであることは間違いありません。この功績でオリーンはノーベル経済学賞を1977年に受賞しています(ヘクシャーは1952年に亡くなったため未受賞)。
そこでここでは、ヘクシャー=オリーン・モデルから導かれる定理をまとめてみました。
4つの定理
ヘクシャー=オリーン・モデルの基本モデルは、2国・2財・2生産要素モデルです。
2国があり、技術は同一で資本・労働を用いて、資本レンタルと賃金を支払い、生産しているとします。生産する財としては、資本集約財と労働集約財の2つがあるとされます。
このとき、2国で貿易がどうなるかを分析しています。
そして、細かな説明・証明は省略しますが、次の4つの定理が導かれます。
ストルパー=サミュエルソンの定理
「資本集約財の価格が上昇すると、資本レンタルが上昇し、労働の賃金は減少する。
逆に、労働集約財の価格が上昇すると、労働の賃金が上昇し、資本レンタルは減少する。」
リプチンスキーの定理
「財の価格が一定のとき、資本賦存量が増加すると資本集約財の生産量が増加し、労働集約財の生産量は減少する。
逆に、労働賦存量が増加すると労働集約財の生産量が増加し、資本集約財の生産量は減少する。」
ヘクシャー=オリーンの定理
「資本豊富国は資本集約財に比較優位を有し、労働豊富国は労働集約財に比較優位を有する」
要素価格均等化定理
「不完全特化のもとで貿易が行われると、2国の間で、資本レンタルと賃金は等しくなる」
参考
井手豊也『ビギナーのための国際経済学』
小田正雄『現代国際経済学』