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産業間の影響を説明する「連関効果」

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投稿産業組織論入門
経済学において、ある産業の需要が増加したとき、他の産業がどうなるかという点で、「連関効果」というものがあります。この連関効果について説明します。
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連関効果

 連関効果とは、経済のある部門が発展した場合、他の部門に与える波及効果のことです。

 例えば、車が多く売れば、その下請業者である部品メーカーや原材料を提供している鉄鋼業なども潤います。このような効果を連関効果と言います。

川上産業・川中産業・川下産業

 連関効果と言っても、いろいろな形があります。
 このとき、経済の波及効果を考える場合に使われる概念として、「前方連関効果」と「後方連関効果」というものがあります。

 ただ、この2つの効果について説明する前に、製品の流れを説明しておきます。

 例えば、洋服を考えましょう。
 洋服は、糸がなければどうしようもないので、まずは原糸メーカーによって糸が作られます。次に、その糸を布にし、縫製加工が必要になります。そして最終的には、洋服は衣料品店やアパレルによって、販売されます。

 このように、一つの製品でも、いくつもの産業が関わっています。
 このとき、物の流れを川の流れに例えた言い方で、より素材に近い産業を「川上産業」、より最終品に近い産業を「川下産業」、その中間にある産業を「川中産業」と言ったりします。

 例えば、上記の洋服の例でいえば、次のようになります。

  川上産業:原糸メーカー
  川中産業:織物業、縫製業
  川下産業:衣料品店、アパレル

前方連関効果・後方連関効果

 川上産業・川中産業・川下産業において、どこかの産業で需要・生産が増加すれば、他の産業にも影響を与えることになります。そして、その影響の与え方で、前方連関効果と後方連関効果に分けられます。

①前方連関効果
 より川上の産業で需要・生産が増加することで、川下産業の需要が増加する効果

②後方連関効果
 川下産業で生産が増加することで、川上産業の需要が増加する効果

 例えば、居酒屋でちくわを提供している場合を考えましょう。
 漁師が魚を獲り、工場で加工され、居酒屋で提供されることになるので、川上産業・川中産業・川下産業は次のようになります。

  川上産業:漁師(水産業)
  川中産業:工場(水産加工業)
  川下産業:居酒屋(飲食業)

 このとき、魚が多く獲れることで、原材料費が低下し、最終的に居酒屋でちくわを安く提供でき、需要が増加したとしましょう。川上産業(漁師)での生産の増加が、工場や居酒屋などの川下産業に影響を与えるので、「前方連関効果」にあたることになります。

 逆に、居酒屋でちくわブームが生じ、ちくわ需要が増えたとき、工場や漁師の需要も増加することになります。川下産業(居酒屋)での需要増加が、より川上の工場や漁師の生産・需要に影響を与えるので、「後方連関効果」になります。

最後に

 居酒屋でちくわが儲かれば、当然、それを作っているちくわ工場も儲かるというのは、よくわかる話で、連関効果については難しい概念ではありません。
 そして、このような効果を、経済学的に整理したのが、「前方連関効果」「後方連関効果」と言えるのかもしれません。

 ただ、このような産業間の効果を、全産業で総合的に分析しようというのが「産業連関表」になりますので、そのベーシックな考えとして、大事なのかもしれません。

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