付加価値税(VAT)とは、付加価値を課税標準として、財・サービスの売上などに課せられる税金です。
日本でいえば、消費税が付加価値税に該当します。
ただ、財・サービスの種類によって課税・非課税を変えたり、財・サービスの種類によって軽減税率が適用されたりすることも多い税金です。
そこでの付加価値税について、どれだけ実際に税収を得ることができるかが重要となってくることから、それを見る指標として、VRR(VAT税収比率)があります。
VRR(VAT税収比率)とは、付加価値税の税収の実効性を示しており、理論的な付加価値税の税収に対して、実際の付加価値税の税収がどれだけあるかを見ることになります。
$VRR =\dfrac{実際のVATの税収}{潜在的な課税ベース × 標準税率}$
潜在的な課税ベースはGDPの最終消費で近似されたりし、分母は理論的に得られる税収であり、分子は実際の税収となっていることから、VRRが1に近いほど、実効性があると考えられます。
例えば、軽減税率や非課税の範囲などが広ければ、この値は低くなります。また、脱税などが多く、しっかりと税務署が税金を徴収できていなければ、VRRは低くなります。
ヨーロッパの各国では軽減税率などがよく導入されており、日本でも2019年10月に、酒類・外食を除く飲食料品について軽減税率が初めて導入されました。
ただ、VRRの観点からは、軽減税率などの複数税率の導入は良くないこととされ、VRRを低める要因になります。特に、低所得者対策として複数税率が導入されますが、複数税率ではそのような対策にはならず、高所得者も恩恵を受けることができるなど、複数税率は問題とされます。
この点で、ニュージーランドの財貨サービス税(GST)は、単一税率であり非課税範囲の小さいことから、VRRは1に近く、高い評価の付加価値税となっています。
参考
国立国会図書館調査及び立法考査局『諸外国の付加価値税(2018年版)』
片桐正俊『財政学』