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日本の国債の区分

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投稿財政学初級
建設国債・特例国債など、日本の国債の区分・そしてその内容について、説明します。
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はじめに

 国債とは、国が発行する債券であり、端的に言えば、国の借金ですが、国債と言っても1つの種類だけではなく、いくつかの区分があります。

 財務省のサイトによると、次のような区分になっています。

  (1)普通国債
     ①建設国債
     ②特例国債
     ③復興債
     ④借換債

  (2)財政投融資特別会計国債(財投債)

   財務省「国債とは

 これらについて、説明したいと思います。

普通国債

 普通国債とは、利払いや返済のための償還財源を、主に税金によって賄われるものです。
 一般的に「国債」といった場合、この普通国債を思い浮かぶことが多いのではないかと思います。

 そして、普通国債は更に区分され、建設国債、特例国債、復興債、借換債の4つがあります。

建設国債

 一般法である財政法で認められた国債で、公共事業費、出資金、貸付金の財源として発行が行われます。

 主に、公共事業を行うための財源として利用されるため、「建設国債」と呼ばれています。
 また、財政法4条に基づいた国債なので、「4条国債」などと呼ばれることもあります。

(財政法)
第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
② 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
③ 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
 e-GOV「財政法

特例国債

 建設国債を発行しても歳入が不足し、公共事業以外の歳出に使うために発行される国債です。
 歳入不足を補うための国債なので、「赤字国債」などと言われたりします。

 上記のように、財政法では公共事業などに使う財源を調達する場合のみに、国債発行が認められ、それ以外の国債発行はできません。
 そこで、特別に法律を制定し、この特例国債を発行しています(なお、特別なので、「特例」という言葉がついています)。

 1965年度の補正予算で初めて導入され、現在に至っています。
 当初は法律の期限は1年間だけで、その1年間だけ特例国債が発行できる形でした。しかしその後、特例が通常化し、毎年のように特例国債を発行するために、法案が提出されていました。ただ、ねじれ国会などから、法案通過に遅延が生じるなどしたことから、2012年より、法律の期限が複数年になり、現在は5年間の期限となっています。

(財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律)
第三条 政府は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項ただし書の規定により発行する公債のほか、令和三年度から令和七年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。
2 前項の規定による公債の発行は、当該各年度の翌年度の六月三十日までの間、行うことができる。この場合において、当該各年度の翌年度の四月一日以後発行される同項の公債に係る収入は、当該各年度所属の歳入とする。
3 政府は、第一項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。
4 政府は、第一項の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。
 e-GOV「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律

復興債

 2011年の東日本大震災からの復興を図るため、様々な施策が必要となりますが、その財源を確保するために発行される国債です。
 「東日本大震災復興基本法」で復興債の発行を認め、その詳細については、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」で規定されています。

 復興のための施策に必要な財源となる税収等が入るまでのつなぎであり、あくまでも特別な措置なので、平成23年度から令和7年度まで発行が可能となっています。

(東日本大震災復興基本法)
第八条 国は、東日本大震災からの復興に必要な資金を確保するため、別に法律で定めるところにより、公債(次項において「復興債」という。)を発行するものとする。
2 国は、復興債については、その他の公債と区分して管理するとともに、別に法律で定める措置その他の措置を講ずることにより、あらかじめ、その償還の道筋を明らかにするものとする。
 e-GOV「東日本大震災復興基本法

(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)
第六十九条 政府は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項の規定にかかわらず、復興施策に要する費用(以下「復興費用」という。)のうち平成二十三年度の一般会計補正予算(第3号)に計上された費用の財源については、当該補正予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。
2 平成二十三年度の当初予算に計上された基礎年金の国庫負担の追加に伴い見込まれる費用を同年度の一般会計補正予算(第1号)において東日本大震災に対処するために必要な財源を確保するために減額した経緯に鑑み同年度の一般会計補正予算(第3号)に計上された当該費用は、復興費用とみなして前項の規定を適用する。
3 平成二十三年度において、一般会計補正予算(第3号)の作成後に、新たに補正予算を作成する場合において当該補正予算に復興費用が計上されるときは、当該復興費用の財源について、第一項の規定を適用する。
4 政府は、平成二十四年度から令和七年度までの各年度において、財政法第四条第一項の規定にかかわらず、復興費用の財源については、各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。
5 第一項、第三項及び前項に規定する復興費用の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
6 財政法第四条第一項ただし書の規定は、第一項、第三項及び第四項に規定する復興費用については、適用しない。
 e-GOV「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法

 なお、発行においては、一般会計ではなく、特別会計によって会計処理されます。

(特別会計に関する法律)
第二百二十八条 復興財源確保法第六十九条第四項の規定により行う復興債の発行は、東日本大震災復興特別会計の負担において行うものとする。
 e-GOV「特別会計に関する法律

借換債

 普通国債の償還額の一部を借り換える資金を調達するために発行される国債です。
 会計上は、国債整理基金特別会計で処理されます。

(特別会計に関する法律)
第四十六条 国債整理基金特別会計においては、各年度における国債の整理又は償還のために必要な金額を限度として、借換国債を発行することができる。
2 借換国債のうち当該年度内に償還すべき借換国債の発行収入金は、国債整理基金特別会計の歳入外として国債整理基金に編入するものとする。
3 前項に規定する当該年度内に償還すべき借換国債を償還するために国債整理基金を使用する場合には、国債整理基金特別会計の歳出外として経理するものとする。
 e-GOV「特別会計に関する法律

財政投融資特別会計国債(財投債)

 財政投融資特別会計国債は、財政融資資金において運用の財源に充てるために発行されます。
 会計上は一般会計ではなく、財政投融資特別会計で処理され、利払いや償還にあたり、税金ではなく貸付回収金により行われる点で、普通国債とは異なっています。

(特別会計に関する法律)
第六十二条 財政融資資金勘定において、財政融資資金の運用の財源に充てるために必要がある場合には、同勘定の負担において、公債を発行することができる。
2 前項の規定による公債の発行の限度額については、予算をもって、国会の議決を経なければならない。
3 第一項の規定により公債を発行する場合には、第三条第二項第一号から第五号まで並びに第五十四条第一号及び第二号に掲げる書類のほか、歳入歳出予定計算書等に、当該年度に発行を予定する公債の発行及び償還の計画表を添付しなければならない。
 e-GOV「特別会計に関する法律

一覧表

 最後に、上記の国債を一覧表にまとめると、次の通りです。

区分根拠法会計法律の期限
普通国債建設国債財政法一般会計なし
特例国債財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律一般会計あり
復興債東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法東日本大震災復興特別会計あり
借換債特別会計に関する法律国債整理基金特別会計なし
財投債特別会計に関する法律財政投融資特別会計なし

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