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累進税に関するいくつかの方法

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投稿財政学初級
累進税について、単純累進課税・超過累進課税・間接累進課税などの方法があります。これらについて説明します。
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はじめに

 累進税とは、所得などの課税主体の金額が上がるほどに、税率も上がるという税制です。

 例えば、所得が100万円ならば税率は5%、所得が500万円ならば税率は10%といったような税制です。
 高所得者からは多くの税金を徴収し、低所得者には税率を軽減するということで、所得の再配分機能という観点から、重要な考えでしょう。

 ただ、この考えを実際の制度に落とし込む際には、いくつかの方法があります。

  ・単純累進課税
  ・超過累進課税
  ・間接累進課税

累進税のいくつかの方法

単純累進課税

 課税主体である所得を複数の段階に分けて、一定の所得を超えると、その段階に応じた税率を適用するというものです。

 例えば、所得が100万円までならば税率は5%、100万円を超えると税率は8%になるといった方法です。

 単純で分かりやすい方法ですが、段階の切り替わる境界周辺では、急激に税率が変わることになるため、問題があるとされています。

 上記の例でいえば、所得が100万円の場合と101万円では、税金が大きく異なってしまいます。

   所得100万円の場合:税率5%、所得税5万円、手取り所得95万円
   所得101万円の場合:税率8%、所得税8.08万円、手取り所得92.92万円

 所得が1万円しか違わないのにもかかわらず、所得が101万円の場合には、税金は所得100万円の場合に比べ、3.08万円(= 8.08万円 – 5万円)多く所得税を支払う必要があります。そして、手取り所得は、所得100万円の場合よりも、少なくなってしまいます。

超過累進課税

 単純累進課税と同様に、所得に応じて段階を設けますが、一定の金額を超えた場合には、その超過分だけ次の段階の高い税率をかけていくというものです。

 上記の所得が100万円までならば税率は5%、100万円を超えると税率は8%という場合で考えると、所得が101万円のとき、次のような計算になります。

  所得税 = 100万円 × 0.05 + (101万円 – 100万円) × 0.08% = 5万円 + 0.08万円 = 5.08万円

 なお、日本ではこの超過累進課税が採られています。そして、実際の所得の計算では、「所得税の速算表」で課税額を計算できます。

   国税庁「所得税のしくみ

   国税庁「所得税の税率」(所得税の速算表)

間接累進課税

 この制度は、累進税という形ではなく、比例税と基礎控除を組み合わせることで、所得が高くなるほど、課税額が大きくなるという方法です。

 間接累進課税では、次のような計算式で、課税額が決まります。

  課税額 = 税率 ×(所得 – 基礎控除)

 税率は所得に関係なく一定(比例税)ですが、基礎控除が設けられている形になっています。

 所得が少ないときは基礎控除の影響が大きく、所得が大きくなるにつれ、基礎控除の影響は小さくなり、所得が大きくなるについれ、課税負担は大きくなる形になっています。

 違う言い方をすれば、上記の式を変形すると、

  課税額 / 所得 = 税率 ×(1 – 基礎控除 / 所得)

という式になります。右辺の「基礎控除 / 所得」は所得が大きくなるほど、小さい値になるので、所得に対する課税額の割合である「課税額 / 所得」は、所得が大きくなるほど、その値は大きくなります。

 とはいえ、累進性を表現する「基礎控除 / 所得」は、所得が大きくなるほど、その効果は逓減するので、所得の再配分としては適切ではないとも言われています。

参考

  片桐正俊『財政学

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