租税の転嫁・帰属
税金は、通常、納税義務者がその税を負担することが考えられます。
例えば、所得税ならば個人が負担し、法人税ならば企業が税を負担することになります。
しかし現実には、そう簡単な話ではなく、納税義務者が税を負担していないことが多くあります。
そしてこのとき、納税義務者と実際に税負担をする者が異なるとき、租税の転嫁と帰着という考えがあります。
租税の転嫁:納税義務者が他の経済主体に税負担を移し替えること
租税の帰属:転嫁により生じた税負担の最終的な貴族
例えば、消費税を考えましょう。
消費税の納税義務者は事業者ですが、事業者が消費税分をしっかりと価格に上乗せできれば、消費者に税を転嫁できており、市消費税負担の帰属は消費者になります。
ただ、事業者が売上の減少を恐れ、消費税分をすべて価格に反映できなければ、消費者に税負担をすべて転嫁することはできず、事業者にも税負担の一部が帰属することになります。
転嫁の種類
転嫁と言っても いくつかの場合で区分けすることができます。
製品を考えたとき、財・サービスの流れは、次のようになります。
製造業者 ⇒ 卸売業者 ⇒ 小売業者 ⇒ 消費者
このとき、製造業者から消費者のほうに、川下に転嫁が行われることを「前転」、逆に消費者から製造業者のほうに、っ川上に転嫁が行われることを「後転」と言います。
また、事業者が課税がなされたとき、生産性の向上などから、転嫁が全くないような状態のことを「消転」と言います。他方、資産課税のように、課税の結果、資産価格が下落することで、資産購入者は租税を負担しても損にならないことがあり、これを「租税還元」と言います。
参考
貝塚啓明『財政学』
池宮城秀正 編著『財政学』