はじめに
政府が国民などに税金について、いくつかの税金がありますが、その性質を知る上で、租税の分類方法を知っておくと、理解が容易になります。
分類方法についてはどのような視点で分類するかで異なり、いくつかの分類方法がありますが、ここでは代表的なものを説明したいと思います。
分類方法
直接税・間接税
租税の転嫁の有無で分類する方法で、納税義務者と税の負担者がどうなのかで、直接税と間接税に分類できます。
直接税は、税の負担者がそのまま納税義務者になりますが、間接税では納税義務者と税の負担者が異なってきます。
例えば、直接税である法人税は、法人が税を負担し、そのまま納税義務者でもあります。他方、間接税である消費税は、税を負担するのは消費者ですが、実際に納税を行う必要があるのは、企業となっています。
このような、直接税では税の転嫁は行われていませんが、間接税では消費者から企業などといったように税の転嫁が行われています。
とはいえ、転嫁の観点でいえば、税制の設計段階では転嫁を想定していなくとも、実際に転嫁が行われる場合があります。例えば、法人税は直接税ですが、法人税を引き上げれば、財・サービスの価格引き上げを招き、最終的に消費者がその税を負担していることもありえます。
人税・物税
課税にあたり、納税者の個別事情を考慮するかどうかで、人税と物税に分類されます。
納税者の個々の事情を考慮して、課税が行われるのが人税であり、そのような事情とは無関係に売買・所有などの事実に基づいて課税されるのが物税です。
例えば、所得税や法人税は、個人や法人の所得・利益の状況に応じて、課税額は異なり、人税とされます。
他方、消費税は個人や法人の状況に関係なく、消費した額に基づいて課税されるため、物税とされます。また、固定資産税なども、不動産を所有しているという事実に対して課せられるもので、物税とされます。
国税・地方税
課税権を有した課税主体が誰なのかという面で分類するもので、国税と地方税に分けられます。
これらの言葉の通り、国により課税が行われるものは国税、地方公共団体により課税が行われるものは地方税になります。
比例税・累進税・逆進税
比例税・累進税・逆進税は、課税標準に対する金額に対して、税率がどのようになるかで分類する方法です。
課税標準に対する金額について、
比例税:金額とは関係なく、税率は一定
累進税:金額が高くなるほど、税率が高くなる
逆進税:金額が高くなるほど、税率が低くなる
逆進税に該当する税金はあまりありませんが、所得税は所得という課税標準について、所得が多くなるほど、税率が高くなるので、累進税とされます。
他方、一般的に消費税は逆進性があると言われますが、財・サービスの購入にあたり、その金額で税率が変わることはないので、比例税となります。
一覧表
日本のいくつかの税金について、上記の分類で整理すると、次のようなものになります。
直接税・間接税 | 人税・物税 | 国税・地方税 | 比例税・累進税・逆進税 | |
---|---|---|---|---|
所得税 | 直接税 | 人税 | 国税 | 累進税 |
法人税 | 直接税 | 人税 | 国税 | 比例税・累進税 |
消費税 | 間接税 | 物税 | 国税 | 比例税 |
地方住民税 | 直接税 | 人税・物税 | 地方税 | 比例税 |
固定資産税 | 直接税 | 物税 | 地方税 | 比例税 |
なお、法人税では、中小企業の場合には所得で税率が異なるため、中小企業では累進税、それ以外では比例税となっています。地方住民税では、均等割と所得割があり、均等割は人頭税なので物税、所得割は所得の状況に応じて課税されるの人税となっています。
参考
片桐正俊『財政学』