なぜ、逆関数という考えが必要なのか
逆関数について説明する前に、まずは逆関数の考え方・必要性を述べたいと思います。
ある関数$ y=f(x)$というものを考えたとき、関数$ f$の意味は、
「$ x \quad \rightarrow \quad y$」
という一方通行の関係を表すことになります。
しかし、$ x, y$の関係を見たとき、矢印を逆にした
「$ x \quad \leftarrow \quad y$」
という関係を考えたい場合があります。とはいえ、矢印が逆向きである以上、違う関係であることを考えなければならず、それが逆関数という考えになります。
当然ながら、「$ x \quad \rightarrow \quad y$」が成立しているからといって、「$ x \quad \leftarrow \quad y$」が成立しているわけではありません。通学・通勤で、行きと帰りが同じというわけではないとの似ているのかもしれません。
その意味で、逆関数の存在の有無なども問題になるのですが、そのあたりはおいておいて、逆関数について述べたいと思います。
逆関数
次のような実関数$ f$を考えます。
$ y = f(x)$
このとき、各$ y$に対して、この式を満たす$ x$が1つだけ存在するような関数$ f^{-1}$
$ x = f^{-1}(y)$
を逆関数と言います。
逆関数の性質
逆関数の性質としては、次のようなものがあります(なお、逆関数については$ f^{-1}$では見にくいので、$ g(y)$とします)。
$ 1. \quad x= g(y)$
$ 2. \quad y= f(g(y))$
$ 3. \quad g'(y) = \dfrac{1}{f'(x)} = \dfrac{1}{f'(g(y))}$
【留意点】
「$ 1.$」「$ 2.$」は分かりやすいですが、「$ 3.$」について若干補足すると、
$ f'(x) = \dfrac{dy}{dx} \qquad , \qquad g'(y) = \dfrac{dx}{dy}$
というような関係が成立するので、逆関数$ g(y)$を微分したものは、元々の関数$ f(x)$を微分したものの逆数になります。
例
$ y=f(x)=2x$のとき
$ x=g(y)=\dfrac{y}{2}$
$ f(g(y))= 2 \times \dfrac{y}{2} = y$
$ g'(y)=\dfrac{1}{2} , \qquad \dfrac{1}{f'(x)}=\dfrac{1}{2}$
となります。
参考
奥野正寛(編著)『ミクロ経済学』
クリストファー・クラファム『数学用語小辞典』