チェーン・ルール
合成関数を微分するにあたり、チェーン・ルール(チェイン・ルール)(連鎖律)というものがあります。
経済学において、微分を使うことが多いのですが、覚えておいたほうがよい公式の1つです。
チェーン・ルールとは、次の2つの関数があるとします。
$ y \, = \, f(x)$
$ z \, = \, g(y)$
このとき、合成関数 $ h(f(x))$ について、次のような公式があります。
$ \dfrac{d \, h(f(x))}{d \, x} \, = \, h'(f(x)) \, f'(x)$
商の微分
商 $ h(x) = f(x) / g(x)$ について、微分をするとき、このチェーン・ルールを使えば、次のような式を得ることができます。
$ \dfrac{d \, h(x)}{d \, x} = \dfrac{d \, (f(x) \, g^{-1}(x))}{d \, x} = \dfrac{f'(x)}{g(x)} – \dfrac{f(x)
\, g'(x)}{(g(x))^2}$
チェーン・ルールの例
次のような2つの関数があるとします。
$ y= x^2 \quad , \quad z=y^2$
【代入した場合】
この2つの関数について代入して、$ z$について微分すると、次のようになります。
$ \dfrac{d \, z}{d \, x} = \dfrac{d \, x^4}{d \, x} = 4 x^3$
【チェーン・ルールを用いた場合】
この2つの関数について、チェイン・ルールを用いた場合には、
$ \dfrac{d \, y}{d \, x} = 2 x \quad , \quad \dfrac{d \, z}{d \, y} = 2y$
を求めて、チェーン・ルールを使うと、次のようになります。
$ \dfrac{d \, z}{d \, x} = h'(f(x)) f'(x) = 2 x^2 \times 2x = 4 x^3$
このように、同じ結果が得られることが分かります。
商の微分の例
次のような2つの関数があるとします。
$ f(x) = 3x \quad , \quad g(x) = x^2$
このとき、次を微分することを考えてみましょう。
$ h(x) = \dfrac{f(x)}{g(x)} = \dfrac{3x}{x^2}$
【代入した場合】
そのまま代入した場合には、
$ h(x) = \dfrac{3}{x} = 3x^{-1}$
を微分することになり、
$ \dfrac{d h(x)}{dx} = -\dfrac{3}{x^2}$
となります。
【商の微分の公式を使った場合】
上記の商の微分の公式を使うと、
$ \dfrac{d \, h(x)}{d \, x} = \dfrac{d \, (f(x) \, g^{-1}(x))}{d \, x} = \dfrac{f'(x)}{g(x)} – \dfrac{f(x)
\, g'(x)}{(g(x))^2} = \dfrac{3}{x^2} – \dfrac{3x \cdot 2x}{(x^2)^2} = -\dfrac{3}{x^2}$
となります。
これらのことから、同じ結果が得られることが分かります。
参考
奥野正寛(編著)『ミクロ経済学』
クリストファー・クラファム『数学用語小辞典』