はじめに
経済学において、対数に関する近似式
$\ln (1 + x) = x$
が用いられることがあります。
例えば、金利$r$について、$\ln (1+r)$は、$r$が小さいときには、$r$に近似されると言われたりします。
数学的な導出方法について、次を見てほしいのですが、ここでは、図・グラフで、視覚的にこの近似式についてみてみます。
図・グラフ
$\ln (1+x)$について、横軸に$x$、縦軸に$\ln (1+x)$として、$x$の変化を見てみます。
まずは、$x$が0から5に変化したときのグラフです。
$x$の増加と共に、$\ln (1+x)$も大きくなりますが、増加は逓減している感じです。
まぁ、$x>0$のとき
$\dfrac{d \ln (1+x)}{d x} = \dfrac{1}{1+x}>0 \quad , \quad \dfrac{d^2 \ln (1+x)}{d x^2} = \; – \; \dfrac{1}{(1+x)^2}<0$
なので、当然と言えば当然です。
しかし、数字を見ると、$x$が5のとき、$\ln (1+x)$は1.8ぐらいで近似になっていません。
ここで、$x$の値が小さいときを、図・グラフにしてみましょう。
下のものは、$x$が0から0.1に変化したときのものですが、かなり直線に近い感じで、$x$が0.1のとき、$\ln (1+x)$も0.1ぐらいになっています。
このように、$x$の値が小さいときには、$\ln (1 + x) = x$としても、問題がないようです。
特に、金利といった場合、通常は数%という値をとり、$x$は1よりもちいさいことがほとんどで、もっと言えば、0.1よりも小さい値が多いでしょう。
なので、$x$の値が小さいときには、$\ln (1 + x) = x$という近似式が用いられます。