以前より気になっていましたが、初心者向けで、大したことは書いてないだろうと思い、ずっと後回しにしていましたが、中室氏・津川氏の『「原因と結果」の経済学』を読んでみました。
どうしても経済学では、データが相互に関係しあっていたり、様々な変数の影響を受けることも多く、実験もやりにくいです。
そのため、(経済学だけではないでしょうが)経済学においてデータを分析する際に、「因果関係」と「相関関係」について、どうしても誤解・誤りが生じがちです。
そして、このような問題について、分かりやすく解説しています。
ランダム化比較試験(RCT)や差の差分析なども、数学を使わずに説明がなされています。
経済学においてデータを分析すると言えば、回帰分析などが中心となりますが、これらの方法は重要な分析手法となっていることから、これらについて知りたいという方は、難しい専門的な本を読む前に、読んでもいいのではと思います。
ただちょっと残念なのは、経済学を学んでいる人はちょっと手を取りがたく、結果と原因や因果関係と相関関係の違いについて知りたい方には、ややこしいといったところでしょうか。
経済学を学んでいる人にとっては、タイトルから、具体的な理論・手法などが掲載されているとは思わず、手に取りにくい面があるように思います。
逆に、結果と原因の関係などについて知りたい方は、読んでみると、専門的な統計手法が出てきて戸惑うのではと思います。このような方にとっては、統計手法などの話より、この本に出てくる補論⓶の「因果推論の5ステップ」のほうが大事なような気がします。
ただいずれにせよ、RCTなどの直観的なイメージを知りたい方は、是非読んでほしい本だと思いました。
中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学』