一般的な説明
財$x$と財$y$があり、効用関数を$U(x ,\ , \, y)$とします。
そしてそれぞれの価格を$p_x \, , \, p_y$とすると、効用最大化の一階条件は、
$\dfrac{U_x}{U_y} = \dfrac{p_x}{p_y} \quad \cdots \quad (1)$
となります。
左辺の$U_x / U_y$は限界代替率を表しており、消費者は効用最大化の結果、2財の価格比に等しいように、2財の消費量を調整し、限界代替率を決定するとされます。
幾何的にも分かりやすいため、一般的にはこのような説明が行われていると思われます。
異なる見方
しかし、$(1)$式を変形すると、
$\dfrac{U_x}{p_x} = \dfrac{U_y}{p_y} \quad \cdots \quad (2)$
と表すこともできます。
これを$x$財について見ると、価格$p_X$で限界効用$U_x$を割ったものになっていますので、価格1円あたりの限界効用を示しています。
同様のことが$y$財にも言えるので、$(2)$式は、1円当たりで限界効用を測ったときに等しくなること言うことを示しています。
言い換えると、2財について、1円当たりの限界効用が等しくなるように、財の消費量の組み合わせを変えるのが、効用最大化条件になります。
そして、価格で割っていますが、限界効用に対するウエイトでもあるので、$(2)$を「加重限界効用均等の条件」と言います。
$(2)$式のもと、$x$財の価格が上昇したとしましょう。
右辺の$y$財の価格$p_y$は変わらないので、$p_x$が上昇した分、$U_x$が増加し、$U_y$が減少しないと、$(2)$式はイコールになりません。
ところで、限界効用は逓減するため、限界効用を大きくするには消費量を減らし、限界効用を小さくするには消費量を大きくすることになります。
これらのことから、$p_x$が上昇したときには、$x$財は減少、$y$財は増加することになります。
$p_x$が上昇 ⇒ $U_x$は増加 ⇒ $x$は減少
$p_x$が上昇 ⇒ $U_y$は減少 ⇒ $y$は増加
まとめ
$(1)$式と$(2)$は、式変形しただけなので、同じことを求めています。
ただ、一般的な$(1)$式のものではなく、$(2)$式の加重限界効用均等の条件で考えたほうが、1円当たりの限界効用という概念が入っているので、直観的には理解しやすいようにも感じています。
結論的には変わりませんが、このような見方もあるということを知っておいてもいいでしょう。
参考
武隈愼一『ミクロ経済学』