一言で言えば、
「限界効用とは、ある財の消費を最小の1単位増加させたときに上がる効用の水準です」
そういわれてもという感じですので、まずは効用から説明をしましょう。
そもそも効用とは
そもそも効用とは何でしょうか。
言葉としては難しいですが、気持ちよさ、気分のよさ、満足度、快楽などを経済学的に表現した用語です。
「満足度と快楽では違うじゃないか」
という意見も出そうですが、それらを区分けして議論すると、話がややこしくなります。そこでとりあえず、自分にとって良いことを総称して、「効用」という言葉で表現します。
ここで分かりやすく効用を、次のような数値で考えるとします。
5:むちゃ最高
4:ちょっと気持ちいい
3:普通
2:ちょっと気持ち悪い
1:最悪
例えば、ある人にとって、「寝た」ときには効用は4、嫌いなニンジンを食べさせられたときには効用は2などと考えます。
厳密には、数字化は難しいですが、このように自分の気持ちのよさや満足度などを、表すものが効用です。
限界効用
そこで、次に限界効用を考えます。
ここで、3つほど、例を挙げてみます。
例1
Aさんの現在の効用が「3:普通」だったとしましょう。
このとき、パンを1個食べた(消費した)とき、効用が「4:ちょっと気持ちいい」に変わったとします。
そうなると、パンを食べたことで効用は1上がったことになります。
$ \dfrac{4-3} {1} = 1 $
この効用が上昇した分の1が限界効用です。
例2
例1と同じように、Aさんの現在の効用について、「3:普通」だったとしましょう。
このとき、例1ではパンでしたが、次におにぎりを1個食べた(消費した)としましょう。
このととき、効用が「5:むちゃ最高」に変わったとします。
そうなると、Aさんはおにぎりを食べたことで効用は2上がったことになります。
$ \dfrac{5-3} {1} = 2 $
この効用が上昇した分の2が限界効用です。
そして、Aさんは、同じ1個を食べたのに、おにぎりのほうが効用の上昇分は大きいです。Aさんは、おにぎりのほうが効用が高まりやすいので、おにぎりのほうが好きと言えるでしょう。
例3
Bさんは現在空腹で、効用が「1:最悪」だったとします。
このとき、おにぎりを2個食べて(消費して)、効用が「5:むちゃ最高」に変わったとします。
そうすると、おにぎりを2個食べたことで、効用が2上がったことになります。
$ \dfrac{5-1} {2} = 2$
この効用が上昇した分の2が限界効用です。
例2と比べると、おにぎりを食べたとき、Aさんの効用の上昇は2(=5-3)ですが、Bさんでは効用の上昇は4(=5-1)となっており、Bさんのほうが効用の増加は大きくなっています。
しかし、Aさんではおにぎりを1個食べたときに比べて、Bさんでは、おにぎりを2個食べたときに増加した効用なので、結果としては、例2と例3で同じ限界効用2になっています。
まとめ
このように、あるものを1単位消費したときに、効用がどれだけ上がるかが限界効用というわけです。