今年もノーベル賞が発表され、経済学賞は、クラウディア・ゴールディン氏が受賞しました。
ところで、ノーベル賞には、「生理学・医学賞」「物理学賞」「化学賞」「文学賞」「平和賞」「経済学賞」の6つの分野がありますが、日本人が受賞していない唯一の分野として、ノーベル経済学賞が挙げられます。
なぜ、このような状況にあるのか、まとめてみました。
理由
理由として考える上で、日本特有の問題なのか、そうでないのかを整理する必要があります。
そこで、大きく世界共通の理由と日本特有の理由について分けて、書いていきたいと思います。
世界共通
アメリカ人
あくまでも、これまでの受賞実績なので、これからはどうかは別として、圧倒的にアメリカ人の受賞者が多いのが、ノーベル経済学賞です。これまでの受賞者の約6割がアメリカ人であり、後にアメリカに帰化した人もいるので、更にその割合は高くなるでしょう。
さらに言えば、アジア人は少なく、(出身国と国籍がややこしいので、イスラエルやユダヤ人を除けば)、国としてはセンやバナジーのインドなどしかなく、東アジアとなると、日本だけではなく、中国・韓国なども含めて、0人です。
(念のため言えば、アフリカや南アメリカもゼロです)
アメリカの大学など
受賞時の所属機関を見ると、アメリカの大学などに所属している人が圧倒的に多く、約8割を占めています。
これまで93人ノーベル経済学賞を受賞していますが、受賞時の所属機関について調べると、大学別に上位10位は、次の通りです。
1. シカゴ大学:14人
2. ハーバード大学:8人
2. MIT:8人
4・ カリフォルニア大学バークレー校:6人
4. プリンストン大学:6人
6. スタンフォード:5人
7. イェール大学:4人
7. コロンビア大学:4人
7. ケンブリッジ大学:4人
10.ニューヨーク大学:3人
ケンブリッジ大学を除けば、すべてアメリカの大学です。
意外なのイギリスの大学はもっと多いような気がしてましたが、LSEが1人、オックスフォード大学は0でした。また、ロチェスターが0人なのも、ちょっと意外に感じました。
いずれにせよ、アメリカの有名大学に所属している経済学者が多いということが言えるでしょう。
日本特有
レベル
日本の経済学者のレベルが低いということが考えられますが、これについては、何とも言えません。
日本人の経済学者と言っても、国際的に活躍している人もいれば、論文を書いているのかさえ分からないような人もいるからです。
しかし、これはアメリカも同様で、アメリカの大学においても、経済学者としてレベルが高い人もいれば、そうではない人もいるでしょう。
ただ少なくとも言えることは、日本の学会が出しているジャーナルで考えれば、国際的には評価が高いものは少ないことは言えるでしょう。例えば、日本のジャーナルの中で評価の高い「The Japanese Economic Review」にしても、国際的には評価は高くはありません。
日本経済が研究の中心
経済学の研究の中心は、アメリカであることは間違いないのですが、そうなると、研究対象としても、アメリカ経済が重要となってきます。
しかし、日本人の経済学者は、国で考えれば、日本の問題に関心があったり、日本経済について研究することが多いので、どうしても、研究対象として、不利な面が大きいと言えます。
まとめ
他にも、そもそもアメリカの大学に行く人が少ない、人種的・地域的な問題、日本文化によるものなどの理由も挙げられるかもしれません。
しかし、上記のものは、大きな要因であるように思います。