計量経済学における最小二乗法において、そのモデルの当てはまりの良さを判断するのに、まず見られるのが、決定係数でしょう。
決定係数を$R^2$とすると、
$0 \leq R^2 \leq 1$
の値をとり、1に近いほど当てはまりがよく、0に近いほど当てはまりが良くない。
簡便であり、非常に分かりやすい指標となっています。
ところで、決定係数を扱うにあたり、いくつか注意点があります。この注意点について、分かりやすくまとめてみました。
注意点1
決定係数は、最小二乗法で使われるもので、他の分析手法では決定係数は定義できません。
注意点2
モデルの説明力を上げようと、決定係数を比較して、変数を色々と変えたいと思うかもしれませんが、被説明変数の関数は同じである必要があります。
例えば、被説明変数について、$y$と$ln y$の2つのモデルがあるとき、決定係数の比較の基準が異なってくるので、それらの比較は意味がありません。
注意点3
最小二乗法で推計を行うとしても、定数項がないモデルの場合には、決定係数は定義できません。
注意点4
説明変数の数を多くするほど、残差は減少していくことなるので、決定係数の数値は上がるので、注意が必要になります。
特に、推計するパラメーターの数と標本数が同じであるときには、決定係数は1になってしまいます。
そのため、一般的には、推計するパラメーターの数が多くなるほど、決定係数の値が低くなるような「自由度修正済み決定係数」を見る必要があります。
以上のように、決定係数を見るときには、注意が必要です。
参考
伴金美・跡田直澄・中村二朗『エコノメトリックス』