ARMAモデル
時系列分析において、ARMAモデル(自己回帰移動平均モデル)というものがあります。
(なお、ARMAは「アーマ」と呼びます)
ARモデルとMAモデルが一緒になったもので、次のようなモデルになります。
$y_t = \alpha + \beta_1 y_{t-1} + \beta_2 y_{t-2} + \cdots + \beta_p y_{t-p} + u_t \; – \; \gamma_1 u_{t-1} \; – \; \gamma_2 u_{t-2} \; – \; \cdots\; – \; \gamma_q u_{t-q}$
そしてAR部分の次数がp、MA部分の次数がqなので、ARMA(p,q)モデルと呼ばれます。
このモデルの定常性は、AR部分で決まるので、通常のAR(p)モデルと同様に、
「$1 \; – \; \beta_1 z \; – \; \beta_2 z^2 \; – \; \cdots \; – \; \beta_p z^p = 0$の$p$個すべての根が絶対値で$1$より大きい」
というものになります。
また、このモデルの反転可能性は、MA部分で決まるので、通常のMA(q)モデルと同様に、
「$1 \; – \; \gamma_1 z \; – \; \gamma_2 z^2 \; – \; \cdots \; – \; \gamma_q z^q = 0$の$q$個すべての根が絶対値で$1$より大きい」
というものになります。
なお、定常性の条件を満たしていれば、ARMA(p,q)モデルはMA(∞)に、反転可能性の条件を満たしていればAR(∞)に変形することができます。
ARMAモデルの意義
ARMAモデルは、ARモデルとMAモデルを合わせたもので、ARモデルやMAモデルに書き換えることができます。
この点で、ARMAモデルの必要性はあまり感じないかもしれません。
しかし、ARモデルやMAモデルでは、次数が長くなる傾向があり、マルチコや自由度などの問題が生じる可能性があります。
言い換えれば、ARMAモデルを使えば、低い次数でモデルを推定することができ、ここにARMAモデルの意義があると言えます。
参考
山本拓『経済の時系列分析』