ナッジについて学ぶと、アーキテクチャの重要性は分かりますし、アーキテクチャによって、人々の選択が変わることも分かります。
しかし、いざそれを実践しようとしても、どこをどうやったらいいのかという疑問が浮かんできます。
何か切り口や、パターンがあれば、アーキテクチャを考えるのに役に立つのではと思っていたところ、『ナッジ!? 自由でおせっかいなリバタリアン・パターナリズム』に指針があったので、紹介します。
(詳しく知りたければ、『ナッジ!? 自由でおせっかいなリバタリアン・パターナリズム』を見てください)
この中で、学食の料理皿の並べ方を例に、12の指針が挙げられています。
①厚生主義
当事者にとって最善の利益となるものを最大化しようというものです。
(例)健康に配慮するというものを目的としたとき、ご飯の大盛りを工学にしたり、肉と野菜を組み合わせて1つの皿にする など
②惰性的な習慣の是正
人間は惰性的な習慣で行動し良くない選択を行っていることがあり、それを是正しようというものです。
(例)料理を毎回ランダムにする など
③自由尊重への配慮
アーキテクチャによって選択が左右されるということを、できるだけなくそうとするものです。
(例)アンケート調査の実施
④賄賂の最大化
お金を出してくれるところの利益を最大化するというものです。
(例)料理の供給会社からお金をもらい、最も手に取りやすいところにその会社の料理を置いたり、売上の一部を慈善事業に使うなどとPRする
⑤利益最大化
提供するものの利益を最大化するというものです。
(例)利益率の高い料理を取りやすいところに並べ、利益率の低い料理を取りにくいところに並べる
⑥慣習的判断
社会一般に通用している方法を使うものです。
(例)どこの学校でも使われているような一般的な陳列方法を採用する
⑦機能的判断
提供するもののの機能に着目するというものです。
(例)冷たい料理と温かい料理を離したり、重いものやこぼれやすいものは手前に置く
⑧美的判断
美的に演出することが望ましいというものです。
(例)色や照明などに気遣って、料理が美しく見えるように並べる
⑨反省的意識の要請
自分の意識決定が正しいのかについて、反省を促すようにするというものです。
(例)食堂に入口に鏡を置き、自分の表情や容姿に敏感になるように仕向けたり、体重計や血圧計などを置く
⑩追加情報による主体的判断
情報を追加して、主体的な判断を促そうとするものです。
(例)料理の横にカロリーや栄養素などの情報を置く
⑪アドバイス情報の追加
アドバイスを表示することが望ましいと考えるものです。
(例)料理の隣に「ビタミンをしっかりとっていますか」といったアドバイスを表示する
⑫アスリート・モデル
人気のある人物などの例に出して、選択に影響を与えようとするものです。
(例)人気スポーツ選手が摂取している栄養例を提示する
参考
那須耕介・ 橋本努(編著)『ナッジ!? 自由でおせっかいなリバタリアン・パターナリズム』