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行動経済学の諸効果・諸概念まとめ

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投稿行動経済学初級
行動経済学において、いろいろな効果や概念がでてきますが、それらをキーワード的にまとめています。
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【プロスペクト理論】
 プロスペクト理論は、行動経済学の中心的な役割を示す理論で、「価値関数」や「リファレンス・ポイント」といったものをベースに、人間の価値に対する感じ方を理論化したものです。
 人間にとって、利得と損失は対照的なものではなく、「損失回避的傾向」がみられるなど、利得と損失は非対称的とされます。

【鏡映効果】
 人間は、利益が出ているときにはリスク回避的となり、損失が出てくるときにはリスク愛好的になる傾向があるというのです。

【双曲割引モデル】
 行動経済学における有名なモデルです。
 従来の経済学では人間の割引率は一定とされていましたが、このモデルは遠い未来よりも、現在や近い未来のほうが割引率は高くなるというものです。
 簡単に言えば、人間はせっかちであるということです。

【認知的不協和】
 自分の考えや行動が間違っていたということが分かったときに感じる心理的な葛藤のことです。
 このときには、人間は葛藤によるストレスを解消するため、自分の心をだまして、自己正当化する傾向があります。
 例えば、大学受験で第一志望の学校に入れなかったとき、本当はこの大学には行きたくなかったんだと、言い訳するような場合です。

 そして特に、思い入れが大きく「コミットメント」が強いときには、この認知的不協和が起きやすくなります。

【現状維持バイアス】
 現在の状況のままでいようとする人間の心理です。
 人間は面倒なことが嫌なので、新しいことを始めるのはストレスがかかり、この現状維持バイアスが生じます。
 また、現在の状況が望むものではなくても、将来の状況は分からず不安が伴うので、現在の状況を選び続けるという選択をしたりもします。

【後悔回避】
 失敗している状況が続いているとき、その失敗を認めると、人間は後悔することになりますが、この効果を避けようという傾向です。
 例えば、株式投資をしており、株価が下落している中で、株式を売却し損切をすると、後悔が発生するので、その株式を所有し続けるといったものです。

【プライド効果】
 プライドが人間の合理的な意思決定を阻害するというものです。
 例えば、プロの投資家が、損を出し続けているとき、自分の判断が間違っていたことを認めるとプライドが傷つくので、損切を避けるという場合です。

【気質効果】(処置効果)
 損をするような意思決定を行うとき、心の中で満足できる言い訳を自分の中で作るというものです。
 例えば、経営者が、他にも魅力的なプロジェクトがあるにもかかわらず、損をしているプロジェクトに対して、これは未来への投資だと、自分に言い訳をして、その損をしているプロジェクトを続けるというものです。

【リアクタンス】
 人間はあれこれと指図されると、それに反発し、むしろ逆のことをしてしまう傾向のことです。

【心理勘定】(メンタルアカウンティング)
 人間には、心の中に、いくつもの財布・勘定をもっているというものです。
 そのため、定期的な収入と臨時的な収入では、同じ収入ですが、違う財布・感じに組み入れられ、それぞれでお金の使い方が変わるというものです(「ハウスマネー効果」)。

【フレーミング効果】
 同じ事実であるにも関わらず、その受け取り方が異なるため、違う行動をしてしまうというものです。
 コップに半分まで水が入っているとき、「まだ半分ある」と「もう半分しかない」という2つの受け取り方がありますが、これはこのフレーミング効果によるものです。

【コントールの錯覚】
 自分自身は、多くのことに対して、コントロールできる・コントロールできていると思い込む心理です。
 人間には、物事に対してコントロールしたいという欲求があり、それが行き過ぎると、コントールの錯覚が生じるとされます。

【ヒューリステック】
 人間は、物事を単純化して認識する傾向があるというものです。
 人間の脳は、早い脳と遅い脳があり(「ファスト&スロー」)、早い脳があることで、人間は即座に行動できますが、逆にそれゆえに、物事をざっくりと把握してしまう傾向があります。
 また、ヒューリスティックといっても、その原因はいくつかあり、利用可能性ヒューリステックなど、様々なものがあります。

【刺激反応適合性】
 人間は、受け取る刺激と望ましい行動が一致していてほしいという心理のことです。
 例えば、5階建てビルのエレベーターについて、階数ボタンが、もし1階が一番上にあり、5階が一番下にあれば、混乱や押し間違いが多く起こると思います。これは、この刺激反応適合性に反するものだからです。

【ハーディング現象】
 人間は、多くの人が行っていることに追従する傾向があるというものです。
 いわゆる、横並び意識といったものです。

【多元的無知】
 集団の全員もしくは多くの人が、他の人が何を考えているか知らない状況のことです。
 ある意味、当たり前かもしれませんが、童話「裸の王様」にみられるように、王様は裸であるにもかかわらず、誰もそれを指摘しない状況が生まれたりします。

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参考

  真壁昭夫『行動経済学入門

  リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン『NUDGE 実践 行動経済学 完全版

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