はじめに
ニュメレールとは、いくつもの財があるときに、価格の基準となる財のことです。
例えば、$x$財と$y$財があり、それぞれの価格を$p_x \, , \, p_y$とし、予算を$M$とすると、予算式は
$p_x x + p_y y = M$
となります。
ここで、予算$M$をニュメレールとして、$M=1$としても
$p’_x x + p’_y y = 1$
としても、議論としては問題ないとされます。
ただ、何となくイメージがつきにくい感じがあります。ドルと金で考えてみると、分かりやすいかもしれません。
ドルと金による例
ある人が、ドル$D$と金$G$で資産を持っているとします。
そして、それぞれを円で評価したときの価格を$p_D$と$p_G$とします。$p_D$は円とドルの為替レートであり、$p_G$は金との交換レートを表してい丸。
この人の円で評価したときの資産を$Y$とすると、
$p_D D + p_G G = Y$
だけ、資産を持っていることになります。
この式は、あくまでも円で評価したものですが、この人の資産は、為替レートや金の交換レートは変動しないとすると、ドルで評価しても、金で評価しても、変わらないことになります。
ドルで評価したときには、
$D + \dfrac{p_G}{p_D} G = \dfrac{Y}{p_D}$
となり、ドル建てで資産を見たときの額になります。
金で評価したときには、
$\dfrac{p_D}{p_DG D} + G = \dfrac{Y}{p_G}$
となり、金建てで資産を見たときの額になります(ある意味、金本位制の場合の資産評価です)。
ドル・金のいずれで評価しても、この人の資産額が変わるわけではありません。円ではなく、ドルや金で見たときの資産額にすぎず、あくまでも基準が変わっただけです。
経済学で、ニュメレールが出てきたときに、やっているのは、このように、ドル建てや金建てで見てみようということです。そして、これを行うことで、式が簡単になったりするので、ニュメレールという概念が使われます。
特に、ある財を$1$とすれば、変数が1つ減るので、計算が楽になったりします。
すなわち、ニュメレールとは、式を簡単にするため、価格表示の基準・見方を変えるときに使われる概念となっています。
最後に
ニュメレールという言葉が出てくると、何やらややこしく感じるかもしれませんが、やっているのはむしろ逆で、式を簡単にするため、ニュメレールという概念が使われます。
そして、ニュメレールは、例えば、円で見ているものを、ドル建てや金建てでみてみようということです。