はじめに
最適化問題を解くにあたり、制約式がある場合には、一般的にラグランジュ未定乗数法が用いられます。
ここで、制約について、等式ならばいいのですが、不等式でしたら、そのままラグランジュアンを定義し、微分すればいいというわけにはいきません。
不等式制約条件の場合には、「クーン・タッカー条件」を満たす必要があります。
(なお、翻訳の問題で、「キューン・タッカー条件」と言われたりもします)
クーン・タッカー条件
非線形計画問題
非線形問題として、次のような問題とします。
$ \displaystyle \max_{\textbf{x}} \quad (\textbf{x} = x_1 \, , \cdots \, , \, x_n)$
s.t. $ g_1(\textbf{x}) \leq b_1$
$ \vdots$
$ g_m(\textbf{x}) \leq b_m$
ラグランジュ関数
この非線形問題について、次のようなラグランジュ関数を定義します。
$ \displaystyle L(\textbf{x} , \lambda) = f(\textbf{x}) – \sum^{m}_{j=1} \lambda_j(g_j(\textbf{x}) – b_j)$
クーン・タッカーの十分条件
このとき、クーン・タッカーの十分条件は、次のようになります。
$ \dfrac{\partial L}{\partial x_i} = 0 \quad (i = 1 \, , \cdots , \, n)$
$ \dfrac{\partial L}{\partial \lambda_j} \geq 0 \quad (j = 1 \, , \cdots , \, m)$
$ \lambda_j \dfrac{\partial L}{\partial \lambda_j} = 0 \quad (j = 1 \, , \cdots , \, m)$
$ \lambda_j \geq 0 \quad (j = 1 \, , \cdots , \, m)$
なお、あくまでも十分条件であり、必要条件を満たすには、別の条件が必要になります。
参考
西村清彦『経済学のための最適化理論入門』
ピーター・バーク、クヌート・シュドセーテル『エコノミスト数学マニュアル』